好酸球性副鼻腔炎(ECRS; eosinophilic chronic rhinosinusitis)は組織中への著しい好酸球浸潤を特徴とする難治性の副鼻腔炎である。確実に有効な治療法はステロイドのみであり、長期投与においては副作用の懸念が大きい。 他方、近年脂質メディエーターの免疫系への関与、調節機構が注目されており、内因性のカンナビノイドは脂質メディエーターとして認知されている。カンナビノイドレセプターはタイプ1 (CB1R)、およびタイプ2 (CB2R)の2種類が同定されており、このうちCB2Rは主に免疫担当細胞に発現が認められる。更に内因性カンナビノイドはCB2R通じて免疫系のバランスをとる機能があり、体内の状況に応じてその受容体の増減が認められることが明らかとなっている。つまり、CB2R発現が増強した際の外部からのカンナビノイドの投与は、病態の修復を促す可能性が考えられている。 現在申請者は、ECRSの病態における内因性カンナビノイドシステムの寄与について検討を進めている。ECRS患者から手術の際に採取した組織を用いて、免疫染色にて評価を行った。上皮下における単位容積あたりのCB2R陽性細胞数を画像解析ソフトを用いて評価したところ、他の病態(非好酸球制服鼻腔炎、嚢胞性疾患)と比較して、副鼻腔粘膜下にカンナビノイドレセプター(CB2R)陽性細胞が有意に多く認められることを見いだした。
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