研究課題/領域番号 |
19K18818
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
永田 善之 日本大学, 医学部, 助教 (70838911)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 鼻副鼻腔乳頭腫 / IL-33 / ST-2 |
研究実績の概要 |
昨年までの研究で、正常コントロール群、慢性副鼻腔炎群、鼻副鼻腔乳頭腫群の3群間におけるIL-33およびST-2 の免疫組織化学染色の染色性のスコアリングを行い比較検討を行った。その結果、鼻副鼻腔乳頭腫群において、IL-33は他2群と比較して有意な染色性を認めた。しかし、IL-33の受容体であるST-2の染色性においては3群間に有意差を認めなかった。本年度は各組織におけるタンパク質レベル、RNAレベルにおけるIL-33の発現を検討したが、鼻副鼻腔乳頭腫群においてIL-33はタンパク質レベル、RNAレベルで発現の有意差は認めなかった。IL-33は通常の鼻粘膜上皮細胞(特に細胞間質)においても発現を認め、外界からの粘膜上皮への刺激により活性化され、組織中で増加するサイトカインである。鼻副鼻腔乳頭腫の粘膜は、上皮が厚く、重層した構造の特徴を持つ。そのため、免疫染色で鼻副鼻腔乳頭腫群で染色性が強く見られたのは重層した粘膜が重なり染色性が強く見えた可能性がある。タンパク質レベル、RNAレベルで鼻副鼻腔乳頭腫群において有意差が見られなかったことから、鼻副鼻乳頭腫の上皮構造においてIL-33は正常コントロール、慢性副鼻腔炎と同様に特異的に発現するサイトカインではない可能性が示唆された。しかし、現段階で症例数が少なく、実際に免疫組織化学染色で、正常コントロール群や慢性副鼻腔炎群より肉眼的に強く染色されている症例も存在しており、症例数を増やして研究を継続する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた実験計画は終了している。当初、実験において免疫染色の結果のみならず、組織に発現するタンパク質及びmRNAレベルでもIL-33の増加が予想されたが、実際に検討してみると有意差は認められなかった。これは、得られたデータとして学会発表や論文などで論証する上では不十分であり、その観点からは遅れているという判断とした。
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今後の研究の推進方策 |
今回の検討でタンパクレベル、RNAレベルの検討は不適切検体が多く、免疫染色を行った症例数よりだいぶ少なくなってしまった。今後、タンパクレベル、RNAレベルでの検討を症例数を増やして検討する。その上で、鼻副鼻腔乳頭腫群において、正常コントロール群、慢性副鼻腔炎群と比較して有意差が見られデータとして新たな知見が得られるようであれば、学会発表、論文作成を行なっていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度までに得られると考えられていたデータが、仮説を立証するのに不十分であったため、令和4年度も繰越金として必要となる。使用用途としては、同一研究がされている学会への参加のための交通費や学会参加費、研究試薬の購入のための費用、研究データをまとめるためのデバイスの購入に使用する。
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