滲出型加齢黄斑変性(age-related macular degeneration、AMD)は脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization、CNV)により網膜下出血と吸収を繰り返し、最終的に失明にいたる疾患である。線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factors、FGF)9は虚血や骨損傷治癒における血管新生を促進することが報告されているが、CNV形成における関与は不明である。本研究においてCNV形成におけるFGF9の関与を明らかにし、FGF9が新規治療ターゲットとなり得るかを検討する。 昨年度までの研究ではレーザー誘導CNVモデルマウスではFGF9がCNVにおける血管新生を促進し、FGF9を阻害することでCNVにおける血管新生を抑制すること、choroidal sprouting assayではFGF9による血管新生促進作用がみられなかったことを示した。さらにCNVにおけるFGF9の免疫局在および産生源を調べたところ、CNVにおいては血管内皮細胞において弱いながらもFGF9の免疫局在が確認された。さらに周皮細胞においてもFGF9の免疫局在が確認された。 今年度はFGF9ノックアウトマウスを作成し、コントロール群のマウスとCNVにおける血管新生を比較した。FGF9KOマウスは胎生致死であるため、Cre-loxPシステムにより血管内皮細胞において選択的にFGF9をノックアウトするコンディショナルノックアウト(FGF9CKO)マウスを作成し、CNV形成がFGF9CKOマウスにおいて有意に抑制されたことを確認した。
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