研究課題/領域番号 |
19K18828
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
善岡 尊文 旭川医科大学, 医学部, 助教 (20548854)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アミノ酸代謝 |
研究実績の概要 |
Cystathionine-β-synthase(CBS)ノックアウトマウスを用いたin vivo メタボロミクス解析データを行い、眼球全体の定量データから水晶体における組織濃度を得ることが可能となった。野生型では水晶体に生体内でも特に高いグルタチオン組織濃度を示すが、CBSノックアウトマウスでは著しく低下していることがわかった。さらにCBSノックアウトマウスの水晶体ではグルタチオンの減少に伴いOphthalmateが上昇していることがイメージングMSで検出された。過硫化体であるglutathione persulfide(GSSH)もCBSノックアウトマウスで減少していることが、LC-MSとイメージングMSを用いたメタボロミクス 解析でわかった。現在は、CBS酵素の下流に当たる含硫アミノ酸だけでなくエネルギー代謝(アデニレート)との関連をターゲットに検討している。 CBSノックアウトマウスの水晶体に対し光学顕微鏡での形態解析を行うとマウス2週齢では臨床的に見られるような肉眼的混濁はないものの、共焦点顕微鏡レベルでは水晶体繊維細胞の形態の不正(正常では六角形の配列)、電子顕微鏡レベルでは水晶体上皮細胞内に空砲やミトコンドリアの変性を認め、水晶体繊維細胞では細胞質それぞれがパッチワークのように不均一なシグナルを示すことがわかった。さらに詳細な顕微鏡による観察を行っていく。 マウス水晶体上皮のプライマリーカルチャーについては細胞の生着が難しく比較実験ができるレベルに達していない。引き続き実験系確立を目指し、水晶体上皮細胞の持つ代謝維持機能について検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物レベルの実験は概ね計画通りに進行している。マウス水晶体上皮のプライマリーカルチャーについては細胞の生着が難しく比較実験ができるレベルに達していないため、細胞実験を中心に進めていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
臨床的観点から水晶体のタンパク凝集による光の散乱だけではなく、光の吸収の観点から評価を行いたい。吸収波長を評価する実験系については確立していないが検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
プライマリーカルチャーの実験系の確立に時間を要し、以降に使用する予定であった試薬等の購入が遅れ残額が生じた。来年度以降に使用を予定する。
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