研究実績の概要 |
本研究は、サルコイドーシスぶどう膜炎患者における新たなバイオマーカーの構築を目的とする。 サルコイドーシスぶどう膜炎患者における血液中のmicroRNA(以下、miRNA)発現量を、白内障などの非炎症性の眼疾患患者(対照群)の発現量と比較することで、サルコイドーシスの発症および炎症活動性に関連するmiRNAを特定する。特定されたmiRNAがサルコイドーシスの新たなバイオマーカーとなれば、その動向をモニタリングすることによりステロイド剤をはじめとした免疫抑制剤を増量・減量する適切なタイミングを見極めることが可能となり、ひいては副作用を最低限に抑えることのできる効率のよい薬物治療が期待できる。 また、サルコイドーシス患者において、ぶどう膜炎を発症する症例と発症せずに他臓器病変(とくに肺病変)のみ認める症例が存在する。肺病変を有するサルコイドーシス症例のmiRNAプロファイリングに関してはいくつか既報があるが、ぶどう膜炎発症例に限定した報告はないため、本研究の結果と既報とを比較検討しmiRNAと病態との関連性についても解析を行い、ぶどう膜炎発症のメカニズムについても調べる。 これらの目的を達成するために、2020年度は、眼科関連学会(日本眼科学会、日本臨床眼科学会)に参加し、サルコイドーシスぶどう膜炎およびmiRNAに関する最新のデータ、知見を集めた。また、山形大学医学部附属病院眼科に通院中のサルコイドーシスぶどう膜炎患者8名(患者群)、非炎症性の眼疾患患者(対照群)3名の血液サンプルのmicroRNAプロファイリング解析(3D-Gene, (株)東レ)を施行し、発現量に有意差のみられたいくつかのmiRNAを同定した。それらのmiRNAのターゲット解析、パスウェイ解析および既報との比較を行ない、サルコイドーシスぶどう膜炎の病態との関連性を検討した。
|