研究課題/領域番号 |
19K18842
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
岩佐 真紀 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70792844)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 先天赤緑色覚異常 |
研究実績の概要 |
先天赤緑色覚異常はX連鎖性遺伝であり、L,M,S錐体のいずれかの視物質が欠損すると色覚異常となる。視物質の欠損は遺伝子異常が原因と考えられているが、遺伝子配列から色覚異常の病因説明がなされない症例も多く存在している。さらに日本人先天色覚異常では10%以上がL-Mの正常遺伝子アレーをもっていると報告されている。 本研究の目的は先天赤緑色覚異常の視物質遺伝子の解析を行い、新たな遺伝子変異を解明することである。特に正常遺伝子アレーをもつ症例についてLCR,プロモーター領域を含めた解析を行い、色覚異常の原因を解明する。また、アノマロスコープで診断された臨床的な型分類と遺伝子解析によって得られた型分類が不一致となった症例の視物質遺伝子全領域の解析を行い、原因を探求する。 2021年度は先天赤緑色覚異常と診断され、研究に同意を得た1症例について、新たに視物質遺伝子解析を行った。 2019年から塩基配列を解析した26症例の遺伝子型と表現型の相違について、アノマロスコープの相関とCone contrast testの結果の相関を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年に新規で同意を得た1症例について、LCR,プロモーター領域を含めた塩基配列の解析を行った。本年度も新型コロナウイルス流行のため、新規のDNA解析は少なくなった。また近年各錐体別に錐体機能の評価を行うCone contrast testが臨床で導入されはじめている。2019年から塩基配列を解析し、Cone contrast testを行った20症例の遺伝子型とアノマロスコープから診断された臨床型、Cone contrast testで得られた各錐体別錐体機能の相関を検証した。
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今後の研究の推進方策 |
Cone contrast testを行った20症例の遺伝子型とアノマロスコープから診断された臨床型、Cone contrast testで得られた各錐体別錐体機能の検証は現在9症例の解析が終了した。これまでのところCone contrast testとアノマロスコープの結果は前例一致している。遺伝子型が正常であっても、Cone contrast testの結果錐体機能が低下している症例を認めた。今後も解析をすすめ様々な遺伝子型のパターンでの錐体機能評価を検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大により、他府県より来院する色覚外来患者の減少、また新規採血を中止したため、2021年度の遺伝子解析症例数が少なくなった。そのため、物品費の購入が予定額より減少した。次年度は既症例の追加解析を予定しており、次年度使用額分は解析物品費への支出に使用予定である。
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