研究実績の概要 |
天赤緑色覚異常はX連鎖性遺伝であり、L,M,S錐体のいずれかの視物質が欠損すると色覚異常となる。視物質の欠損は遺伝子異常が原因と考えられているが、遺伝子配列から色覚異常の病因説明がなされない症例も多く存在している。さらに日本人先天色覚異常では10%以上がL-Mの正常遺伝子アレーをもっていると報告されている。 本研究の目的は先天赤緑色覚異常の視物質遺伝子の解析を行い、新たな遺伝子変異を解明することである。特に正常遺伝子アレーをもつ症例についてLCR,プロモーター領域を含めた解析を行い、色覚異常の原因を解明する。また、アノマロスコープで診断された臨床的な型分類と遺伝子解析によって得られた型分類が不一致となった症例の視物質遺伝子全領域の解析を行い、原因を探求する。 2022年度は前年度までに先天赤緑色覚異常と診断され、塩基配列を解析した26症例の遺伝子型と表現型の相違について、アノマロスコープの相関とCone contrast testの結果の相関を検証し、うち9症例について学会報告した。9症例中6症例は遺伝子型とCCTの結果が一致したが、遺伝子型とCCTの結果が一致しない症例が3例あった。
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