網膜光凝固術は非常に古典的な治療方法であるが、今なお網膜疾患の治療としては非常に有用なものである。近年、Semiautomated patterned scanning laser for retinal photocoagulation (以下PASCAL)という新しい概念の網膜光凝固装置が開発され、最大の特徴は、単発発振ではなく、数発から数十発を連続発振できることにある。その短い照射時間 のゆえ脈絡膜への熱伝達がおさえられ、患者の負担を大幅に軽減させることができる。しかしながらこれまで、網膜光凝固班の術後評価方法は照射後の凝固班の色、大きさなど視覚的にのみ評価がされてきており、至適条件は確立していない。視覚的には同じ凝固班であっても、レーザーの照射条件を変えることによって遺伝子発現に差異があることを証明し、遺伝子レベルからみた網膜光凝固術の至適条件の決定を企画する。さらには、ショートパルスによる組織選択性のある凝固でのみ発現する遺伝子を同定できる可能性があり、新たな研究に発展する可能性も含んでいる。
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