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2020 年度 実績報告書

ROCK阻害剤を用いた抗VEGF治療抵抗性糖尿病黄斑浮腫に対する新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K18846
研究機関九州大学

研究代表者

有馬 充  九州大学, 大学病院, 学術研究員 (60772845)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード糖尿病黄斑浮腫 / 抗VEGF治療 / ROCK / 分子標的治療
研究実績の概要

前年度までの成果から、リパスジルが血管内皮細胞において、炎症性サイトカイン刺激によるアクチン重合を阻害することによりclaudin-5の消失を抑制することがわかったが、タンパク質の発現量は分解のみならず産生(転写・翻訳)によっても調節を受ける。そこでVEGF刺激下および炎症性サイトカイン刺激下での血管内皮細胞におけるclaudin-5 mRNA量を定量したところ、低下したclaudin-5の転写量がリパスジルによって回復することがわかった。つまり、リパスジルはclaudin-5の分解を抑制するだけでなく、産生をも促進することで、血液網膜関門機能を維持することが示唆された。
次にROCKとclaudin-5転写機構の関連について検証を行った。定常状態においては、転写因子βカテニンは血管内皮細胞間接着構造構成分子であるVE-cadherinと結合し細胞膜直下に存在するが、VEGFおよび炎症性サイトカイン刺激によりVE-cadherinとβカテニンの結合が外れるとβカテニンが血管内皮細胞核内へ移行し、claudin-5のプロモーター領域に結合することで転写をoffにする。リパスジルによって細胞骨格が安定化し、VE-cadherinの細胞膜上への発現が維持されることで、βカテニンが細胞質に保持され、claudin-5の転写阻害が抑止されることを明らかにした。
また、ROCKには2つのアイソフォーム、ROCK1とROCK2が存在する。リパスジルはどちらのアイソフォームの活性化も阻害するため、どちらのアイソフォームが病態に関与するのか検証する目的で、CRISPR/Cas9によりROCK1 KO血管内皮細胞、ROCK2 KO血管内皮細胞を作成した。結果、ROCK2がclaudin-5の発現機構に関与していることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] Queen's University(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      Queen's University
  • [雑誌論文] Diabetic vascular hyperpermeability: optical coherence tomography angiography and functional loss assessments of relationships among retinal vasculature changes2021

    • 著者名/発表者名
      Mitsuru Arima, Shintaro Nakao, Yoshihiro Kaizu, Iori Wada, Muneo Yamaguchi, Kohta Fujiwara, Masato Akiyama, Alan W Stitt, Koh-Hei Sonoda
    • 雑誌名

      Sci Rep

      巻: 11 ページ: 4185

    • DOI

      10.1038/s41598-021-83334-6

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Claudin-5 Redistribution Induced by Inflammation Leads to Anti-VEGF Resistant Diabetic Macular Edema2020

    • 著者名/発表者名
      有馬 充
    • 学会等名
      第26回日本糖尿病眼学会総会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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