研究課題
緑内障は本邦において中途失明原因の第1位であり、緑内障の克服はQuality of Lifeの改善のみならず、社会経済的にも重要である。現在、緑内障の治療方針は眼圧下降であるが、眼圧は良好であるにも関わらず視野障害が進行する症例や、既存治療では眼圧コントロールが困難な症例など、治療に難渋する症例は多く、緑内障の本態である網神経経節細胞(RGC)へアプローチする治療の確立が急務である。緑内障において、RGCの細胞体が生存していれば、軸索の再生を誘導することで視野障害の進行を抑制できる可能性がある。我々はラット網膜神経節細胞において、Akt依存的なアデノシンA3受容体の活性化が軸索伸長に必須であることを明らかにしてきた。本研究は、炎症性サイトカインの一つであるInterleukin (IL)-6に注目し、軸索伸長・再生のメカニズム、アデノシン受容体との相関関係を解明していくことである。昨年度、我々は生後8日のラットより採取した純度の高い網膜神経節細胞(RGC)にIL-6と可用性IL-6(sIL-6)を添加することによりRGC軸索伸長が促進されることを明らかにした。今年度は単離したRGCに各アデノシン受容体アンタゴニストを添加することによりRGC軸索伸長が促進されるかを検証した。その結果、アデノシン受容体A3受容体アンタゴニストであるMRS1191でRGC軸索伸長が促進された。シグナル経路の確認のため、pAktをウエスタンブロットで確認したが、MRS1191添付群では活性化されなかった。今後、MRS1191がRGC軸索伸長を促進させたシグナル経路の確認と各アデノシン受容体アゴニスト、アンタゴニストとIL-6の相互作用の検証が必要である。
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