研究課題/領域番号 |
19K18849
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
高瀬 範明 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (00812124)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 網膜 / 加齢黄斑変性 / 抗体医薬 / ドラッグデリバリーシステム |
研究実績の概要 |
抗VEGF療法は、VEGFのはたらきを抑える抗VEGF薬を眼内に注射してVEGFを抑制し、滲出型加齢黄斑変性症や、糖尿病黄斑浮腫の治療として広く用いられる。しかしながら再投与が必要であることが多く、また効果も最長で2ヶ月と短い。本研究は、抗VEGFのような水溶性高分子製剤を眼内で徐放が可能か、長期に眼内の薬効を保つことができるかを、動物実験により検証する。 はじめにプロトタイプとして眼内レンズ型中空デバイスを作製し、さらに作製したデバイスを家兎の前房内に移植し、前房内でのフルオレセイン溶液の徐放を調べた。中空構造を有する眼内レンズ型デバイスを使用して、家兎の眼内において2ヶ月以上の持続的なフルオレセインの徐放が可能であった。 緑内障インプラント模倣タイプ(結膜下インプラント)は3Dプリンターを使用しアクリル素材で作成した。インプラントは小型のアクリル容器で先端が直径0.5mmの薬物徐放の開口部を有する。家兎の結膜下に埋没し、インプラントの先端は強角膜トンネルを作成し、虹彩と角膜の間の前房のスペースに留置した。インプラントの容器の中に、モノクローナル抗体を注入し、乾燥させ、その後網膜剥離の手術で用いるSF6ガス、及びC3F8ガスを封入する。ウサギの眼にインプラント後はモノクローナル抗体の濃度を、前房水を採取しELISAを用いて測定し、3ヶ月以上の持続的なモノクローナル抗体の徐放が可能であった。 シリコンチューブを二重に重ねたチューブ式カートリッジタイプの結膜下インプラントを作成し、薬剤とゲルを交互に注入した薬物徐放システムを考案した。結膜下インプラント同様に家兎の結膜下、眼輪筋の下を通してシリコンチューブデバイスを強膜上に留置し、チューブの開口部を眼内に留置。前房水を採取し、1ヶ月以上の持続的なモノクローナル抗体の徐放が可能であったが、ゲルの最適化を行い更なる長期間の徐放を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究はインプラントデバイスデバイスを作製し、水溶性高分子製剤の長期徐放を目的としているが、研究初年度において眼内レンズ型、緑内障インプラント模倣型のデバイスの作製を試み、既に3ヶ月の家兎の前房内にてモノクローナル抗体長期徐放が確認された。またデバイスの形状を見直し、シリコンチューブを二重に重ねたチューブ式カートリッジタイプの結膜下インプラントを作成し、薬剤とゲルを交互に注入したカートリッジを内蔵する薬物徐放システムを考案した。さらに水溶性高分子製剤に様々なゲルを組み合わせることにより、徐放速度の最適化を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在緑内障インプラント模倣型のデバイスにおいて家兎の硝子体内でのモノクローナル抗体の徐放が確認された。また、新たなチューブ式カートリッジタイプのデバイスでの薬物徐放を開始し、形状の最適化を行い、水溶性高分子製剤を溶解するゲルの最適化を行いさらなる長期徐放を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)物品購入の際に端数が生じたため。 (使用計画)物品費として使用する。
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