抗VEGF療法は、VEGFのはたらきを抑える抗VEGF薬を眼内に注射してVEGFを抑制し、滲出型加齢黄斑変性症や、糖尿病黄斑浮腫の治療として広く用いられる。 しかしながら再投与が必要であることが多く、また効果も最長で2ヶ月と短い。本研究は、抗VEGFのような水溶性高分子製剤を眼内で徐放が可能か、長期に眼内の薬効を保つことができるかを、動物実験により検証する。 はじめにプロトタイプとして眼内レンズ型中空デバイスを作製し、さらに作製したデバイスを家兎の前房内に移植し、前房内でのフルオレセイン溶液の徐放を調べた。中空構造を有する眼内レンズ型デバイスを使用して、家兎の眼内において2ヶ月以上の持続的なフルオレセインの徐放が可能であった。 引き続き、緑内障インプラント模倣タイプ(結膜下インプラント)は3Dプリンターを使用しアクリル素材で作成した。インプラントは小型のアクリル容器で先端が直径0.5mmの薬物徐放の開口部を有する。家兎の結膜下に埋没し、インプラントの先端は強角膜トンネルを作成し、虹彩と角膜の間の前房のスペースに留置した。 インプラントの容器の中に、モノクローナル抗体を注入し、乾燥させ、その後網膜剥離の手術で用いるSF6ガス、及びC3F8ガスを封入する。ウサギの眼にインプラント後はモノクローナル抗体の濃度を、前房水を採取しELISAを用いて測定し、3ヶ月以上の持続的なモノクローナル抗体の徐放が可能であった。 またデバイスの形状を見直し、新たにチューブ式カートリッジタイプのデバイスを作成し、徐放薬剤の交換が容易な形状を考案した。さらに水溶性高分子製剤に様々なゲルを組み合わせることにより、徐放速度の最適化を行っている。
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