研究課題/領域番号 |
19K18862
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
米田 剛 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (80389014)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 視線計測装置 / 他覚的視力検査 / 視線位置 / 視線停留率 / 乳幼児 |
研究実績の概要 |
本研究は、乳幼児を対象にした他覚的な視力検査機器の開発を実施している。視覚の感受性が高い乳幼児の時期に視機能の障害を早期に発見し、適切な視環境を整える訓練をすることは、視機能の正常な発達に重要である。一般的な視力検査は自覚的な応答によって測定されるが、乳幼児など応答が困難な場合では、眼球運動による眼の動きや脳波などの他覚的な判定方法が用いられている。しかし、乳幼児の目の動きの判定は検者が判定しているため、検者間で判定のばらつきが生じる。本研究では、視線の動きを視線解析装置によって評価することで、検者間の誤差のばらつきを無くし、3歳児健診での乳幼児の視機能の障害の見落としを減らすことを目的として研究を開始した。 2020年度の研究実績は、川崎医療福祉学会誌への論文投稿と第76回日本弱視斜視学会総会で発表を行った。 川崎医療福祉学会誌へ投稿した論文は、視線解析装置の視線位置の精度と再現性について検討した内容で、視標と視線位置のずれが0.2°以内と解析の精度が高く、再現性も級内相関が0.8以上と高い結果を示した。 第76回日本弱視斜視学会総会で発表した研究は、有志願者の成人20名を対象にTeller acuity card(TAC)と視線解析装置による他覚的視力検査の両者の視力を比較した内容であった。両者の視力の値は正の相関を示し、視線解析装置を用いた他覚的視力検査でも既存の検査であるTACと同様の結果を示すことを確認することができた。この結果を受けて、今後乳幼児で本装置を用いて視力検査を実施することを想定し、被検者がみている視線の位置と停留率から自動的に視力を判断するシステムを構築し、計画通りのプログラム作成するところまで実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、2019年度には乳幼児で視線解析装置による視力検査を実施する予定であったが、2019年度の進捗状況で報告した通り、依頼した企業の業務の都合上延期となり、乳幼児で測定する際に必要なプログラムの作成が2020年度に変更になった。 そのため、2020年度の到達目標を被検者がみている視線の位置と停留率から自動的に視力を判断できるプログラムを構築し視線解析装置に組み込むことに変更した。この到達目標については、2020年度中にプログラムを構築し企業へ依頼し作成することができたため、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の到達目標は、2020年度に作成した視線の位置と停留率から自動的に視力を判断するプログラムを組み込んだ視線解析装置を用いて、今後は乳幼児を対象にTACと視線解析装置で視力を測定し、視力の相関について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度の残金は389,200円であった。これは、新型コロナウイルス感染症蔓延のため、発表予定であった国際学会、国内学会への旅行の費用がかからなかったためである。 また、令和3年度については、視線解析装置を用いた他覚的視力検査を自動化するためのアルゴリズムの構築およびプログラムにかかる費用に使用する。
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