研究課題
涙腺摘出や乾燥環境負荷などin vivoのドライアイモデルは多く存在するが、それらのモデルでは摩擦だけでなく炎症や浸透圧亢進など様々な要因が加わってし まい、実験結果の解釈を複雑にしてしまう。in vitroの実験モデルではそれらの因子は排除出来るが、定量的な実験を行うには特殊な実験系の構築が必要であ る。我々は平行平板型流れ負荷装置を用いた水流シェアストレスによって培養細胞に定量的に長時間にわたって機械的刺激を負荷する実験系を確立しており、こ の手法を培養ヒト角膜上皮細胞に応用し、瞬目の摩擦による角膜上皮への慢性的な機械的刺激を再現した。 網羅的遺伝子解析を行ったところ、シェアストレス を負荷した角膜上皮細胞では様々な遺伝子発現が変化していたが、ANGPTL4(アンギオポエチン様蛋白4)の遺伝子発現が圧倒的に上昇していた。シェアストレスを 負荷した角膜上皮細胞ではWBにてANGPTL4蛋白も増加することがわかった。また、マウス角膜の免疫染色において 角膜上皮にはANGPTL4が高発現していることも わかった。現在のところ実際の生体角膜におけるANGPTL4の役割は不明であるが、マウス角膜の免疫染色においても 角膜上皮にANGPTL4が高発現していることか ら、ANGPTL4は角膜上皮において何らかの機能を持っている蛋白であることが示唆される。閉鎖された乾燥環境でマウスに送風することで、マウスにドライアイ環境を負荷するドライアイアイモデルを作成し、ANGPTL4の発現の変化を解析中である。また、眼瞼に粘性物質を塗布することで不快感から目を掻痒することに よる、掻痒シェアストレス負荷モデルも作成し、現在解析中である。また、シェアストレスを負荷した角膜上皮細胞ではMMPの発現が変化することが確認出来たため、それらの内容を学会発表し、学術論文として投稿し、Experimental Eye Research誌に掲載された。
4: 遅れている
コロナ禍による研究体制・診療体制の混乱により研究に遅延が生じている。これまで得られた結果を国内学会にて発表した。それらの内容は学術論文として投稿し、Experimental Eye Research誌に掲載された。
コロナ禍による研究体制・診療体制の混乱により遅延している研究を進めていく。
コロナ禍による研究体制・診療体制の混乱から予定通りに研究を行うことが出来なかった。 予定より遅れた研究を2024年度に進めていく。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Experimental Eye Research
巻: 234 ページ: 109571~109571
10.1016/j.exer.2023.109571