研究課題
Doppler網膜血流装置を用いて、論文発表を行なった。具体的には、網膜血流測定のパラメーターから動脈硬化の程度を判定するアルゴリズムを開発、論文発表した(Retinal Blood Velocity Waveform Characteristics With Aging and Arterial Stiffening in Hypertensive and Normotensive Subjects. Trans Vis Sci Tech.2021)。本論文では、網膜血流測定装置によって得られた網膜血流の波形(retinal blood velocity waveform)を解析することで、動脈硬化の程度を予測することができることを報告した。また、インスリン治療が網膜血管の弾性に与える影響について論文発表も行い、糖尿病患者において、インスリン使用者の網膜血流がインスリン以外の血糖降下薬を使用している患者に比べて減少していることを初めて報告した。さらに網膜血流測定により動脈硬化の度合いを求めることのできるpulsatility ratioとresistance indexというパラメータを求めると、いずれもインスリン使用者の方がインスリン以外の血糖降下薬を使用している患者に比べて動脈硬化が進行している可能性についても報告した(Effect of insulin treatment on pulsatility ratio and resistance index of the retinal artery in patients with type 2 diabetes. PLoS ONE.2021)。この二つの論文は網膜血流測定により全身疾患、特に動脈硬化などに起因する疾患の病態把握などに役立つ可能性を示すものであり、今後さらに測定患者数を増やすことで、新たな発見が期待される。一方、緑内障眼における網膜血流および従来の緑内障診断に用いられる光干渉断層計により得られる網膜神経線維層の厚みの両方を加味して緑内障の診断精度を上げる方法についても世界眼循環学会2021で発表を行い(Glaucoma Diagnostic Ability for Retinal Blood Flow Measurement by Doppler Optical Coherence Tomography)、現在論文を投稿中である。
3: やや遅れている
新型コロナの流行により研究が何度も中断、再開を繰り返しており、予定していた基礎研究、臨床研究を思うように進められていない。しかし、その中でも、限られた制約の中で可能な限り実験を行い、学会発表、論文発表を行なってきており、現在までに原著論文は2編、科学雑誌に掲載されている。
新型コロナ流行の終息が未だ見えない中で、今後も研究を中断しなければならない可能性があるが、現時点でできる限りの実験、データ収集を行っていく方針である。また学会活動も新型コロナの流行により、一時中止していたが、徐々に回復の狼煙が見え始めてきているため、今後は論文発表のみならず国内外での学会発表に力を入れていく予定である。
新型コロナ流行の影響により研究が遅延しているため。
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Transl Vis Sci Technol .
巻: 25 ページ: 1;10
10.1167/tvst.10.13.25
PLoS ONE
巻: 7 ページ: 16
10.1371/journal.pone.0254980