研究課題/領域番号 |
19K18868
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
面高 宗子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (80569583)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 緑内障 / 視力低下 / 乳頭黄斑線維 / 毛細血管 / バイオバンク |
研究実績の概要 |
(1)緑内障患者における感度・特異度の高い乳頭黄斑線維束障害の評価法の確立: スウェプトソース光干渉断層計(SS-OCT:swept source optical coherence tomography)で撮像された12x9㎜のワイドスキャンボリュームデータを用いて、乳頭と黄斑を結ぶ直線の中点をとおる断面上の、網膜神経線維層と網膜神経節細胞複合体を合わせた厚みを測定し、緑内障症例における視力と高い関連を認めた(Curr Eye Res.2019)。 (2)篩状板孔の三次元画像解析方法の確立と乳頭内篩状板孔・乳頭黄斑線維束・毛細血管のそれぞれの障害部位との関係:篩状板の三次元再構築データのCスキャン面を用いて、篩状板孔をトレースし、篩状板孔の三次元再構築を行った。視神経乳頭の画質向上を目指し、複数回撮像した乳頭のボリュームデータを重ね合わせる技術を応用した。抽出した構造物の定量方法として、体積や断面積、湾曲や蛇行率などの定量化を試みた。体積や断面積は、正常眼よりも緑内障眼において有意に小さいことが分かった。 さらに、乳頭と乳頭周囲における篩状板構造と毛細血管を反映する画像を明瞭にするために、SS-OCTの乳頭部の3DボリュームとOCT-Angiographyの重ね合わせを行い、篩状板内の毛細血管の描出・乳頭周囲の毛細血管の観察を行った。 (3)緑内障複合型バイオバンクとバイオマーカー探索:視力、眼圧、眼底写真、視野検査を基本とし、角膜ヒステレシス、前眼部光干渉断層計、眼軸長、SS-OCT(網膜構造・OCT Angiography)、レーザースペックルフローグラフィー、血圧、心拍、身長、体重、酸化ストレス値、抗酸化力、ゲノムのデータを収集中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(4)ハイスループット薬剤スクリーニングから動物Proof of conceptについて、培養毛細血管内皮細胞障害に対する薬剤スクリーニングの系の立ち上げ、また、薬剤ライブラリーのスクリーニングの開始に遅れがある。 候補化合物同定後、血中酸化ストレス負荷、および緑内障モデルによる網膜・乳頭毛細血管の脱落について、動物実験を用いて薬効やメカニズムの同定を検証する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 実臨床における活用のため、機械学習のアルゴリズムを検討し、乳頭黄斑線維束の自動選択法の作成。(2)篩状板孔・乳頭黄斑線維束・毛細血管脱落における関連性の検証。(3)生体サンプルの収集・解析。バイオマーカーと(1)(2)との関連の総合的な解析。(4)毛細血管減少に関連する動物モデルの作成・評価、薬剤スクリーニングの系の立ち上げ。動物モデルによる網膜・乳頭毛細血管の脱落を、動物実験を用いて薬効やメカニズムを同定。
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次年度使用額が生じた理由 |
生体バイオマーカーの収集と解析の着手にやや遅れがあり、当該助成金が生じた。 次年度、生体バイオマーカーの収集と解析を進めていく予定である。
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