緑内障手術である線維柱帯切除術は、術後の重大な合併症の一つとして白内障の進行が知られている。本研究では、酸化ストレスに着目し、術後の前房内の抗酸化環境と白内障進行の生理的なメカニズムを解明することを目的とした。日本有色ウサギをコントロール群、虹彩切除群、線維柱帯切除術群の3群に分け比較検討したところ、虹彩切除群と線維柱帯切除術群の前房水中のアスコルビン酸濃度と総抗酸化能が対照群と比較して有意に低下していた。虹彩切除群と線維柱帯切除術群において、水晶体を病理学的に検討したところ白内障性変化がみられた。線維柱帯切除術の特に虹彩切除は,前房内の抗酸化環境を慢性的に低下させるという新たな知見を得た。
|