研究課題/領域番号 |
19K18881
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
椎原 秀樹 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (00837271)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 加齢黄斑変性症 / 定量眼科学 / 人工知能 / パキコロイド |
研究実績の概要 |
本年度は脈絡膜のHaller層を光干渉断層計のC-scan画像から定量化する手法を確立し、この手法を論文報告した(Graefes 2019)。さらにこの手法を用いて、加齢黄斑変性疾患やその近似疾患である中心性漿液性網脈絡膜についてHaller層の血管の定量解析を行った(N=135)。その結果、正常眼と中心性網脈絡膜症の比較においては正常眼、疾患眼、僚眼のいずれの間においてもHaller層の血管径には差異があり、正常眼と疾患眼・僚眼の間には血管走行の差異があることを定量的に証明できた。この結果は論文報告し、今後掲載予定である(SciRep in press)。また、加齢黄斑変性症と中心性漿液性網脈絡膜症の間にはHaller層の形態には差異を認めないこと、Haller層の血管拡張のcut-off値を定量的に求めることが出来た。これらの結果はそれぞれ国内学会で発表を行った。また、定量データから人工知能を用いて、自動的に脈絡膜を疾患パターンと正常パターンに分類することが可能なモデルを作成した。さらに特徴量解析から、どのようなパラメータが疾患と正常の分類に重要であるかを求めた。この結果についても国内学会で発表を行った。これらの得られた知見によって、加齢黄斑変性症の中から脈絡膜に病因の主体がある疾患群、所謂Pachychoroid関連疾患についての一つの指標を示し、Pachychoroid関連疾患に含まれる加齢黄斑変性症では光線力学療法が特に有効であることを、術後3ヶ月時点のデータから示し、学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常眼と加齢黄斑変性症の脈絡膜構造を解析することで、疾患を発症しやすい脈絡膜構造のパターンを定量的に示すことが出来た。また、これらの定量データから人工知能を用いて正常と疾患の脈絡膜パターンを自動的に判別することができるプログラムを作成できた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで得られた知見から脈絡膜構造と加齢黄斑変性症の治療効果(抗VEGF阻害薬や光線力学療法)との関連について検証をしたい。また、正常と疾患の脈絡膜パターンを自動的に判別するプログラムの改良を行い、臨床応用可能かどうか検証したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に発注した物品について、受注生産となり、年度内に納入が間に合わなかったため。次年度使用額として使用を計画している。
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