本年度は開発した脈絡膜en face画像解析ソフトウェアで得られた知見を基に、Pachychoroid neovasclopathyを定義し、光線力学単独療法による治療成績と抗VEGF薬との治療効果の違いについて検討を行った。結果については学会報告を行い、さらに今後論文投稿予定である。またこれまでの正常眼・Pachychoroid疾患眼についての脈絡膜en face画像の詳細な解析結果が評価され、第37回日本眼循環学会総会において若手奨励賞受賞講演を行った。 本研究によって得られた知見は以下の通りである。脈絡膜en face画像を定量化することによって、Pachychoroidの病態に脈絡膜血管走行の非対称性が関与していることを証明した。さらにこれらの非対称性は正常眼においては後天的に変化しない可能性を証明した。つまり、血管走行の非対称性は、将来のPachychoroid疾患発症の可能性を示唆する重要な所見であることが分かった。また、定量化を行うことによって、Pachyvesselのcut-off値を定義することが可能であった。これは今後の研究の標準化に重要な指標となると考えている。また定量化情報を人工知能を活用することによって、en face画像からPachychoroidを分類する人工知能モデルを作成することが出来た。人工知能の臨床応用への足掛かりになる重要な研究であると考えている。
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