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2020 年度 実施状況報告書

スフィンゴシン1リン酸受容体3を標的にした角膜の血管新生と瘢痕化の抑制戦略の樹立

研究課題

研究課題/領域番号 19K18885
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

安田 慎吾  和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20772271)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード角膜 / 創傷治癒 / 新生血管 / S1P / S1PR3
研究実績の概要

S1PR3ノックアウトマウスでは野生型と比較して角膜熱凝固によって誘発される角膜血管新生は抑制され、角膜内のVEGF-AとaSMAのmRNA発現レベルが低下していた。野生型マウスではS1PR3は血管内皮細胞と角膜上皮細胞に強く発現しており、血管新生抑制の機序解明の目的で血管内皮細胞とマウス角膜上皮細胞/線維芽細胞を用いてin vitroでの検討を行なった。
マウス角膜上皮細胞/線維芽細胞を用いた実験では、角膜刺激によって誘発されるTGFb1は角膜実質内でSPK1活性化を介してS1P産生を増加させた。実質内で産生されたS1Pは場所を変えて、角膜上皮細胞内でVEGF-A産生を促進した。この特徴はS1PR3が角膜上皮細胞では発現しているが、角膜実質細胞では発現が乏しいことに起因していた。
血管内皮細胞としてヒト臍帯静脈内皮細胞を用いた実験では、S1PR3は血管内皮細胞に発現していることを確認した。S1Pを付加することでVEGF-A mRNA発現レベルを上昇させた。細胞の挙動を確認するために管腔構造構築実験を行うと管腔構造はS1Pで拡大し、S1PR3阻害剤で縮小した。このことからS1PはS1PR3を介して血管内皮細胞の管腔構造に関与していることが言える。
また血管内皮細胞内でS1PはS1PR3を介して細胞接着因子であるVE-cadherinさん性にも関与しており、マクロファージ内のS1PR3もVEGF-A産生に関与していた。以上のことをまとめS1P-S1PR3を介したシグナル経路が角膜血管新生に関与していることをlaboratory Investigation2021に掲載された。また2019年度第123回日本眼科学会総会での学術展示優秀賞の受賞、角膜カンファレンス2021(2021年2月11日)でシンポジウム発表をさせていただいた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「S1P3制御に着目した角膜血管新生、瘢痕化の新規治療戦略の確立」という研究テーマで角膜血管新生のメカニズムについては研究実績に記載したように論文化・学会報告まで至っている。瘢痕化に関してもマウス角膜の炎症を惹起する実験でS1PR3ノックアウトマウスにおいて瘢痕化が抑制されていることを確認した。現在瘢痕化が抑制されるメカニズムを解明中である。実験の進捗状況は予定通りである。

今後の研究の推進方策

S1PR3ノックアウトマウスにおける瘢痕化抑制メカニズムを確認するためにアルカリ外傷モデルにおける線維・瘢痕化と角膜全層切開後の創閉鎖速度と線維・瘢痕化の程度を野生型マウスと比較して検討する。またその原因となるサイトカインや線維化マーカーなどをreat time RT-PCRとwestern blot法と免疫染色を用いて検討する予定である。
また臨床応用を目標に野生型マウスにS1PR3阻害剤を点眼・腹膜投与することで瘢痕化抑制ができるかの検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度にマウスにS1PR3阻害剤を点眼・腹腔内投与するために薬剤購入に費用がかかるため、本年度分は予算より少なくなった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Loss of sphingosine 1-phosphate receptor 3 gene function impairs injury-induced stromal angiogenesis in mouse cornea2020

    • 著者名/発表者名
      Yasuda Shingo、Sumioka Takayoshi、Iwanishi Hiroki、Okada Yuka、Miyajima Masayasu、Ichikawa Kana、Reinach Peter S.、Saika Shizuya
    • 雑誌名

      Laboratory Investigation

      巻: 101 ページ: 245~257

    • DOI

      10.1038/s41374-020-00505-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] マウス角膜血管新生におけるスフィンゴシン-1-リン酸受容体3(S1PR3)の役割2021

    • 著者名/発表者名
      安田慎吾
    • 学会等名
      角膜カンファレンス2021 シンポジウム発表
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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