中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)は、網膜色素上皮のバリアが破綻することで脈絡膜側から感覚網膜下への漿液流入をもたらし、視力の低下や小視症を引き起こすと考えられている。CSCにおいて、インドシアニングリーン蛍光造影の後期画像で見られる低蛍光病巣はブルッフ膜レベルでの脂質沈着である可能性を申請者らは過去に見出した。しかし、低蛍光病巣領域のブルッフ膜レベルの上にある網膜色素上皮の異常については詳細が明らかでないため、本研究において他のマルチモーダルイメージングである短波長光による眼底自発蛍光、近赤外光による自発蛍光、フルオレセイン蛍光造影を用いて詳細な検討を行った。インドシアニングリーンを肘窩より注入し、少なくとも20分以上経過後の後期インドシアニングリーン蛍光造影画像での低蛍光病巣の面積と、低蛍光病巣領域内にある短波長光による眼底自発蛍光、近赤外光による自発蛍光、フルオレセイン蛍光造影での異常病巣の面積を比較した。14名の連続症例(男性12名、うち2名は両側CSC、女性2名は片側CSC)において、28眼の4種類の画像、計112画像を取得した。平均年齢±標準偏差は46±9.2(31-69)歳であった。後期インドシアニングリーン蛍光造影で低蛍光病巣が認められたのは24眼(すべてのCSC16眼と対側の8眼)であった。単回帰分析の結果から、短波長光による眼底自発蛍光やフルオレセイン蛍光造影と比較して、近赤外光による自発蛍光は、後期インドシアニングリーン蛍光造影上の低蛍光病巣を最も簡単に検出できる方法であることがわかった。これは、網膜色素上皮のメラニン異常、特に減少を示唆している可能性があることがわかった。
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