研究課題/領域番号 |
19K18895
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
中野 克哉 金沢医科大学, 医学部, 研究員 (50835527)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ドライアイ |
研究実績の概要 |
ドライアイは、目の乾燥感・不快感、疲れ、視覚障害など様々な自覚症状を引き起こす慢性疾患であり、その自覚症状は生活の質を著しく低下させることが知られている。近年、ドライアイ患者の中には中枢性の神経ネットワークの異常により自覚症状が誘発されていることを示唆する報告がされている。すなわち、角膜神経の知覚情報は、三叉神経節を通り延髄の三叉神経脊髄路核または頸髄C1領域に投射され中枢へと伝えられるが、この領域におけるシナプス伝達が変化し、眼不快感の伝達に異常をきたしている可能性がある。本研究では、ドライアイモデルマウスにおいて角膜神経とシナプスを形成する延髄または頸髄神経のシナプス応答がいつ頃どのように変化しているか明らかにし、中枢性感覚異常を引き起こす時期とその神経科学的変化を明らかにする研究を実施する。 神経因性疼痛や炎症性疼痛などの神経疾患において観察される脊髄のシナプス伝達の異常は、ミクログリアやアストロサイトの活性化や炎症を伴っていることが多い。したがって、本年度はグリア細胞マーカーや炎症性分子の発現が、いつ頃から変化するか明らかにする実験を行った。眼窩外涙腺を摘出して涙液分泌減少型ドライアイモデルマウスを作成し、上皮障害の程度をフルオレセイン染色を行いながら、2-12週間にわたって飼育した。本動物の三叉神経脊髄路核中間/尾側亜核を含むように脳幹を冠状断で摘出し、ウエスタンブロッティングで活性化ミクログリアのマーカー(Iba1)および活性化アストロサイトのマーカー(GFAP)ならびに炎症性分子(HMGB1)の変化を検討した。その結果、6週目に一過性のGFAP発現の上昇がみられ、12週目にHMGB1が増加することを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標にしていたドライアイによる三叉神経脊髄路核周辺の変化を、アストロサイトマーカーならびに炎症性マーカーの発現量変化という形で検出できたことから、順調に研究が推進していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、涙腺摘出後6週目におけるGFAPの変化の詳細と、12週目におけるHMGB1の変化の詳細を免疫染色で明らかにするとともに、6週目および12週目のシナプス伝達の変化を電気生理学的に明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画の若干の遅れにより、試薬購入代の未使用分が生じたため。次年度は、本年度未使用分も含めて、当初の計画通りすべて使用する計画である。
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