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2019 年度 実施状況報告書

マトリセルラー蛋白を標的とした抗VEGF療法誘導性眼内線維増殖の治療戦略構築

研究課題

研究課題/領域番号 19K18899
研究機関九州大学

研究代表者

中間 崇仁  九州大学, 大学病院, 医員 (30827556)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードマトリセルラー蛋白 / VEGF / 線維増殖 / ペリオスチン / 糖尿病網膜症
研究実績の概要

抗VEGF療法前後での眼内環境の変化を、マトリセルラー蛋白を中心に解析するために、抗VEGF療法時に眼圧下降目的で前房水50μlを採取し集めた。Multiplex beads arrayとELISA法を用いて、その前房水中のペリオスチンやテネイシンCなどのマトリセルラー蛋白やVEGFを含む炎症性サイトカインの蛋白濃度を定量した。
現在抗VEGF療法前後でこれらの因子が変化するか否か、また変化した因子や抗VEGF療法後も発現が高いままの因子と眼内線維増殖の状態との相関を解析中であるが、一部有意なデータも出てきている。
糖尿病網膜症症例では、抗VEGF療法前から前房水内のペリオスチン濃度はコントロール群に比較して有意に高値であることを見いだした。また抗VEGF療法に抵抗性で抗VEGF療法後に線維化が進行した症例の多くは、抗VEGF療法後の前房水内ペリオスチン濃度が上昇傾向にあることを見いだした。同症例における前房水内VEGF濃度は上昇傾向には無いため、VEGFとペリオスチンの相関は低いと考えられた。
これにより、抗VEGF療法誘導性の眼内線維増殖の発症進展に、ペリオスチンを含むマトリセルラー蛋白が関与していると考えられる。さらに知見を蓄え、これを基盤として抗VEGF療法誘導性の眼内線維増殖に対する新規治療戦略の構築を目指す。マトリセルラー蛋白は、正常網膜での発現レベルは低く、線維血管増殖組織に特徴的に発現していると考えられるため、 マトリセルラー蛋白を標的とした新規治療を創製できれば、正常網膜にほとんど障害を与えることなく、線維血管増殖組織のみを抑制する病態特異的な治療法となることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

抗VEGF療法誘導性眼内線維増殖に関与するマトリセルラー蛋白の同定を行うための前房水を用いた検討は、概ね順調に進展している。結果のさらなる解析を行っていく。
しかしながら、COVIT-19感染症拡大によるラボ閉鎖の影響もあり、行う予定であったin vivoマウスモデル、in vitro細胞培養系を用いた抗VEGF療法誘導性因子の同定に関しては進捗が滞っている。

今後の研究の推進方策

糖尿病網膜症以外の加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症の前房水に関してもデータ解析を進める。
COVIT-19感染症が沈静化しラボが再開した際には、予定していたin vivo加齢黄斑変性モデルであるマウスレーザー誘導網膜下線維血管増殖組織モデルと、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症モデルであるマウス酸素負荷網膜上線維血管増殖組織モデルを用いて、in vivoにおける抗VEGF療法誘導性因子の同定を行う。in vitroにおいても、線維血管増殖組織の重要な構成細胞であるヒト網膜色素上皮細胞、ヒト網膜血管内皮細胞の培養細胞を用いて抗VEGF療法誘導性因子の同定を行う。
抽出された因子の抗VEGF療法誘導性眼内線維増殖における機能解析も引き続き行う。

次年度使用額が生じた理由

COVIT-19感染症拡大に伴うラボ閉鎖の影響もあり、行う予定であったin vivoマウスモデル、in vitro細胞培養系を用いた実験系が年度途中から止まったため。
次年度に再開予定のため繰り越して使用予定。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 糖尿病黄斑浮腫の前房水中ペリオスチン濃度と抗VEGF治療効果2019

    • 著者名/発表者名
      小林義行, 石川桂二郎, 森賢一郎, 久保夕樹, 中間崇仁, 久冨智朗, 吉田茂生, 園田康平
    • 学会等名
      日本眼科学会総会

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公開日: 2021-01-27  

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