研究課題
2019年度及び2020年度に引き続き、網膜色素変性(RP)患者の臨床サンプル及び臨床データを用いて酸化ストレスとRPの重症度や病気の進行との関与を検討し、新たなバイオマーカーを同定することを目的とした研究を行った。COVID-19の世界的な流行拡大による研究環境の劇的な変化により、臨床サンプル蓄積及び研究実施が極めて困難な状況であった。研究実施体制を再構築し、実施可能な研究内容及び方法を厳選したうえで研究を遂行した。1.RP患者の末梢血中の酸化ストレスマーカーの解析と臨床所見との関与の検討2020年度までにRP患者の血液サンプルを用いて酸化ストレスマーカーの定量解析を行い、血清SOD3活性がRPの重症度に関与している可能性を明らかにしてきた。中枢神経系に常在するマクロファージであるミクログリア及び末梢血由来のマクロファージは、神経炎症や酸化ストレスに重要な役割を果たすことが報告されている。2021年度は、末梢血中の炎症性単球のレベルを評価することにより、RPの病態における単球由来のマクロファージの役割について検討を行った。RP患者の末梢血中の単球の変化を評価した結果、RP患者では末梢血中の炎症性単球が増加していることを明らかにした。2.RP患者の前房水及び硝子体中の酸化ストレスマーカーの解析と臨床所見との関与の検討前房水及び硝子体サンプルは、臨床手術適応のある症例など採取が可能な症例が限定されるうえ、採取が可能なサンプル量も極少量である。2019年度及び2020年度に引き続き、RP患者の白内障手術及び硝子体手術時に前房水及び硝子体サンプルを採取しその蓄積を行った。臨床サンプルの準備が整ったため酸化ストレスマーカーの定量解析を行った。現在、解析結果の検討を行っており、その詳細について論文及び学会等で報告予定としている。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
PNAS Nexus
巻: 1 ページ: -
10.1093/pnasnexus/pgac003
Ophthalmol retina
巻: 4 ページ: 268-272
10.1016/j.oret.2021.12.010