研究課題/領域番号 |
19K18905
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
井上 牧子 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任助教 (10837925)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 体外式組織拡張器 / 脂肪細胞 / 脂肪前駆細胞 / 線維芽細胞成長因子 / 血管内皮細胞 / 線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
体外式の組織拡張器は主に乳房増大の目的で開発使用されているが、体外からの組織進展により組織の増大が得られる機序は未だ解明されていない。今回の研究においては細胞および組織に伸展刺激を加え、皮下組織を構成する各種細胞がどのような生化学的変化を来すのか、主にサイトカインの変化から追う目的で行っている。 まず、研究計画調書における《実験1》脂肪細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞を培養細胞伸展システム(STB-140 ストレックス)及び有効面積4cm^2のシリコンチャンバー(ストレックス)において伸展培養を行うことを予定していた。しかし脂肪細胞においてはシリコンチャンバーへの接着不良があり、培養方法の変更を検討中である。具体的には3Dコラーゲンゲル内での培養、もしくは細胞の種類を脂肪前駆細胞への変更を検討している。脂肪前駆細胞の伸展培養においては経時的な剥脱が予想されるため、実験期間の短縮を検討している。また、脂肪細胞および繊維芽細胞においては、細胞入手方法は当初患者提供の手術時の余剰組織からの採取を予定していたが、より安定化、簡略化させるため、セルラインの購入に変更する予定である。 細胞伸展培養のためのストレッチチャンバー、コーティング用のCollagen Type I(NIP)およびの培地内の脂肪合成活性の定量的評価のためGPDH 活性測定キット(RSD)、線維芽細胞および血管内皮細胞の増殖を促す塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を測定するため、Quantikine Mouse/Rat FGF Basic ELISA Kit(フナコシ)を購入した。すでにKatoらにより体外式の組織拡張器によりbFGFによって起こることが示されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
複合組織に対する伸展を前提とした研究であるため実験を要する細胞の多様さ、実験系の複雑さから準備が遅れている。特に脂肪細胞の伸展培養は先行研究に乏しく複数回の予備実験を要すると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書における《実験1》および《実験2》を並行して行っていく。当初実験1においてはヒト・ブタ細胞を予定していたが、実験2ではマウスを使用することを予定していたため、動物種をそろえて試薬の効率化、手技の簡略化、実験時間の短縮化をめざす。《実験2》におけるヌードマウスの背部に装置をつけ、15-30mmHgの陰圧をかけ皮下組織を吸引拡張し、皮下組織の間質浮腫液内のELISAによるサイトカインの測定および、組織学的評価は予定通り本年度施行する予定であり、当施設の実験動物センターにおける動物実験計画を審査中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
複合組織に対する伸展を前提とした研究であるため実験を要する細胞の多様さ、実験系の複雑さから準備が遅れている。このため、脂肪細胞の伸展培養は先行研究に乏しく複数回の予備実験を要すると思われ、未使用額はその経費に充てる計画である。
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