研究実績の概要 |
今回の研究においては計画書における《実験1》《実験2》を行った。 《実験1》皮下組織の細胞に対し単培養を行い伸展培養を行った。脂肪細胞においてはシリコンチャンバーへの接着不良があり、脂肪前駆細胞への変更を行った。マウス由来血管内皮細胞、ラット由来脂肪組織由来幹細胞マウス由来線維芽細胞をコラーゲンでコーティングしたストレッチチャンバーに播種した。自動伸展装置を用いて、伸展群に10往復/分、伸展率10%の長周期伸展刺激を1日10時間、4日間与えた。コントロール群は通常の培養を行った。伸展開始後1,2,3,4日目に培地の回収と細胞数の計測を行い、回収した培地に含まれる塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の濃度を後日ELISAで評価した。細胞数は血管内皮細胞において伸展群の方がコントロール群よりも高値となった。bFGFの濃度は有意な差が認められなかった。 《実験2》フリームービングシステムと吸引ポンプに接続した陰圧装置を、ヌードマウス(5週、BALB/c Slc-nu/nu、雌、6匹)の背部に固定し、0.004MPaの陰圧をかけて1日10時間、4日間吸引した。非装着群(2匹)をコントロール とした。免疫染色にてサイトカインの分泌を検索した。4日目にマウスに炭酸ガスで安楽死処置を施し、背部皮膚を採取してヘマトキシリンエオジン染色とbFGF免疫染色を行った。また、HE染色標本を顕微鏡で観察し、40倍の視野に含まれる血管数を数えた。bFGF免疫染色標本を蛍光顕微鏡で観察し、複数視野でbFGF発現部分の面積と組織の面積を計測し、bFGFの検出率を求めた。伸展群では皮内・皮下出血および拡張した血管が多く見られ、またコントロール群と比較して血管数の増加傾向が見られた。また、伸展群において、血球・皮下組織の細胞の細胞質でbFGFの発現が強く認められた。
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