研究課題/領域番号 |
19K18906
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松本 洋 岡山大学, 大学病院, 助教 (20423329)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 胸背動脈前鋸筋枝 / 穿通枝 / 解剖 / 造影CT / 造影剤 |
研究実績の概要 |
胸背動脈前鋸筋枝からの穿通枝の解剖学的局在を明らかにするため、解剖体を用いた造影X線CT撮影を行う予定であった。先ず予備実験で本研究に適した造影剤の検討を行った。この際、水溶性(イオパミロン)と油脂性(リピオドール)の造影剤を用いたが、使用した造影剤の特性により画像検査において問題を生じることがわかった。すなわち、水溶性造影剤の場合、粘度が低く細い血管も描出されやすい反面、ホルマリン固定された血管内で薄まりやすく、血管自体のコントラストがつきにくいことがわかった。一方、油脂性造影剤の場合は、血管のコントラストはつきやすい反面、粘度が高いために細い血管に造影剤が入りにくく、末梢血管まで描出されにくかった。また、油脂性であるが故、血管内のホルマリンと交わらず、経時的に造影剤が血管内で分離するため、造影剤注入からCT撮影までにタイムラグがあると血管が分節状に造影される問題を生じた。現在、これら水溶性と油脂性造影剤の問題点を改善するために独自に、本研究に適した造影剤の工夫を行っている。本研究(ホルマリン固定解剖体)における最適な造影剤とは、造影効果が高く、粘度が低く、ホルマリンと親和性のある親水性造影剤と考える。具体的には、油脂性造影剤をジエチルエーテルや抱水クロラールに溶解し粘度を低下させ、さらに比重を調整した水に鹸化させるなどの工夫を行っている。混合比率などの調整により徐々に油脂性造影剤が水溶液中で分離しにくくなってきているが、さらなる工夫が必要な状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既製の造影剤では本研究に適したのもが無く、造影剤の工夫に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
現在行っている造影剤の改良を向こう6ヶ月以内に終え、解剖体を用い実際に造影検査を行う予定である。先ずは胸背動脈前鋸筋枝より造影剤を順行性に注入しCT撮影後、画像構築を行う。その後、真皮下血管より逆行性に造影剤を注入し、得られた画像を順行性画像と比較する。さらに肉眼解剖により胸背動脈前鋸筋枝からの穿通枝を同定し、穿通枝を茎とした穿通枝皮弁の挙上法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
造影剤の問題により当該年度に予定していた解剖体を用いた研究が実施できなかったため残額が生じたが、次年度は解剖体を用いた研究を行うため当該費用に支出する予定である。
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