研究課題/領域番号 |
19K18909
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
河原崎 彩子 (岡田彩子) 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50550498)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 軟部悪性腫瘍 / 超音波力学療法 / 光感作物質 |
研究実績の概要 |
軟部悪性腫瘍は希少癌であり、かつ50以上の組織型から成るため治療法の確立が困難な疾患群とされている。現在唯一有効な治療法は手術治療のみであるが、再発率が高く、腫瘍の広がりを正確に評価し、特異的にがん組織を縮小させる方法が必要と考えられる。近年、5-ALAなどの光/超音波感受性物質の投与により腫瘍特異的な薬剤の集積をはかることで腫瘍の浸潤範囲を評価し、さらに、光あるいは超音波照射をがん組織に収束させて抗腫瘍効果を発揮する方法が注目されてきている。 今回、軟部悪性腫瘍に対する5-ALAを用いた超音波力学療法の可能性を探索することを目的とした。腫瘍細胞株としては、頻度の高い軟部悪性腫瘍細胞の組織型を考慮し、数種類の細胞株を用いることとした。 まず、軟部悪性腫瘍細胞株数株を用いて、5-ALAや超音波刺激による細胞増殖への影響を検討した。5-ALAについては軟部悪性腫瘍細胞への細胞増殖抑制効果を検討し、5-ALAの濃度による影響を検討した。超音波刺激についても軟部悪性腫瘍細胞株への強度および超音波刺激時間による細胞に対する影響を検討した。さらに、5-ALAと超音波刺激の組合わせによる有効な条件の検討も行った。条件検討から、コントロール群、5-ALA処理群、超音波処理群、併用処理群に分けて、現在細胞レベルでの評価を行っている。この研究により、軟部悪性腫瘍細胞による超音波力学療法の可能性を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年次計画においては、昨年中に、細胞増殖評価をWST-8での評価を行い、細胞内PpⅨの蓄積の確認や細胞周期評価、ROS蓄積の確認を目標とした。 実際に細胞増殖評価をWST-8により試みたところ、5-ALAの薬剤による影響などにより吸光度測定による評価は困難であった。そのため、細胞増殖評価方法として、いくつかの方法を検討後、現在の評価方法に決定した。また、細胞に対して加える超音波刺激方法についても、従来の報告のように、細胞懸濁液をチューブに入れて超音波刺激を加えるなど、いくつかの方法で施行したが、現在の超音波刺激方法で施行することに決めた。 このような予備実験の後、細胞増殖評価や細胞周期評価等を行っており、in viroでの研究の進捗状況はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
年次計画として、本年度はin vitroでの分子メカニズムの検討を目的としている。昨年度に引き続き、5-ALAと超音波刺激の組み合わせによる効果を評価することを推進した上で、さらにその分子メカニズムを検討することを目標とそいている。最終年度ではin vivoでの評価を目標としており、本年度でのin vitroでの検討を推進していく予定である。vivoで行う際の超音波刺激方法は同時に検討していくことで、最終的に本研究の目的を達成したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
in vitroでの研究推進がやや遅れたことにより、試薬等の必要物品の購入が遅れているため、次年度使用額が生じた。今後、in vitroの研究の推進により、物品の購入が必要となるため、次年度において使用させていただく計画にしている。
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