研究実績の概要 |
5-ALAは光感受性物質とされると同時に超音波感受性物質としても使用され、投与することでがん細胞内に代謝物であるプロトポルフィリンⅨが蓄積するとされている。超音波照射はキャビテーション(気泡発生)を発し、熱発生やフリーラジカル(H+, CH+)を発生させる効果があるとされている。両者の組み合わせにより、活性酸素の発生増強やがん組織の破壊が起こり、超音波力学療法(SDT)としてがん治療への応用が期待される。 本研究では軟部悪性腫瘍細胞を用いて、超音波力学療法の可能性を探索することを目的とした。 Cell lineである、SW872 (liposarcoma cell), HT1080 (fibrosarcoma cell)を用いて、5-ALAを投与し、一定時間処理後に超音波刺激を加える。超音波刺激方法は超音波洗浄器 (Bransonic)を用い、最終的に超音波刺激装置に応用する。測定方法として、細胞増殖抑制効果についてEVE cell counterを用い、細胞周期解析 (FACS Caliber)活性酸素の発生増強の関与についてROS測定を行うこととした。 前年度まで、5-ALAは細胞増殖抑制効果の結果をともに、5-ALAは2mMで安定する傾向であり処理条件とし、その4時間後に超音波刺激は超音波洗浄器Hi modeによる刺激による細胞増殖抑制効果、細胞周期解析、ROS測定を行った。細胞増殖抑制効果は相加的な効果がみられ、sub G1の増加がみられた。ROS測定により活性酸素の増強効果が寄与していると考えたが、上記条件ではROSの蓄積効果はみられなかった。 2022年度は超音波刺激方法を超音波治療器1MHzで加えた条件で、超音波洗浄器の Hi modeと同様にやはり細胞増殖抑制効果がみられることを確認した2021年度に継続して、同条件で正常線維芽細胞との比較を行った。
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