研究課題/領域番号 |
19K18911
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
森田 侑平 自治医科大学, 医学部, 臨床助教 (90834474)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脂肪幹細胞 / 微小細片化組織 / MCAM / 再生医療 |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒト脂肪組織由来の微小細片化組織(Micronized cellular adipose matrix; MCAM)、すなわち脂肪間質幹細胞(adipose-derived stromal/stem cells, ASCs)を含有する細片化脂肪組織の製造技術を最適化して、その製造デバイスを開発するとともに、MCAMの治療ツールとしての有用性、安全性について、動物疾患モデルで検証する。MCAMは、すでに海外で美容目的に応用されており、形成外科領域の幅広い疾患の治療として確立できれば、その価値は大いに期待される治療ツールである。 今年度では、新規細片化脂肪組織(MCAM)の製造方法の最適化について検討していた。 ヒト吸引脂肪組織を細断するため、組織破断用デバイス(以下:細断機と省略する)を用いた。細断機細断効率の評価指標として、細断後細片組織のサイズおよび均一性、回収重量、細胞生存率などとする。なお、MCAMの最適な製造方法を評価するため、カスタムメイドした回転カッターの形状、回転数、細断回数、検体流速、処理時間などについて検討していた。 総合的に判断したうえで、MCAMを効率よく製造するための各パラメータを決めた。丸型の回転カッターで、回転数を2000rpm、細断回数を4回、検体流速を段階的に30mL/min→15mL/min→7.5mL/min→3.8mL/minに設定し、処理時間を5min以内にする場合、より多くのMCAMを回収することができ、脂肪間質幹細胞生存率も高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、ヒト吸引脂肪組織検体を用いた研究である。研究を遂行する過程で当初予期しなかった検体個人差による結果の不安定性が研究の途中で判明し、結果の不安定性を改善するため、当初予定していた手法とは別で新しい方法の検討と決定に数ヶ月の期間を要したため、年度内の研究完了ができなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、細片化脂肪組織(MCAM)内に含まれている幹細胞の機能を解析する。具体的に、MCAM を explant culture (10% FBS含有DMEM-F12)し、培養増殖した幹細胞のコロニー形成能、増殖能および培養上清への分泌成分(HGF、VEGFなどサイトカイン)の定量測定を行い、比較する。これらの結果を評価し、脂肪幹細胞含有細片化脂肪組織の調製・製造方法の最適化プロトコールを開発する。 さらに、前臨床実験を通して、難治性創傷疾患モデルを用いて、治療ツールとしてのMCAMの有効性と安全性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、MCAM内幹細胞より分泌した培養上清中有用成分の定量測定ができなくなったため、実験に使用予定であった試薬や解析用キットなどの購入をしなかった。そのため、試薬代を計上しなかった。 翌年度では、培養上清中有用成分測定のため、必要な試薬、定量分析用ELISAキット(HGF、VEGFなど)、増殖因子抗体アレイキットなどの購入が必要になり、試薬代に支出予定である。また、上記述べた実験以外に、一部の動物実験の実施も予定しており、動物の購入、飼育ための人件費に支出予定である。また、国内外の学会参加費も支出予定である。
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