近年、再生医療や人工神経(軸索再生誘導チューブ)をはじめとする自家神経移植に代わる様々な神経が研究開発されてきている。しかし一方で、これらの技術はあくまでも自家組織移植を置換することを目標とし研究されているものの、現状は自家神経移植を超越するものではない。顔面神経麻痺に対する神経移植において成績改善を得るためには、再生医療を含めた移植神経そのものの開発だけでなく、移植後の様々な変化を捉え神経再生を促す+αの要素を見いだすことが不可欠である。そのような背景の中でHIF-PH阻害剤は人工神経などに付加することで成績改善をもたらす有効な一つの選択肢となりうる。
|