研究実績の概要 |
2019年度はLONZA社よりヒト脂肪組織由来幹細胞(Adipose-derived Stem Cells; ASCs)を購入し、まずは安定した培養条件の模索を行った。次に培養したASCsについては、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)で刺激を加えた後に一定時間培養し、細胞および上清を回収して解析を行った。細胞については、そこから調製したRNAを用いてcDNAライブラリーを調製し、合計4種類のTaqMan Array (Angiogenesis, Cytokine Network, Growth Factor, Molecular Mechanisms of Cancer)(Thermo Fisher社)を用いて、bFGF刺激によってASCsでの発現が促進されるサイトカインを探索した。その際に刺激前に細胞を飢餓状態におかないと、刺激の入りが悪いことが判明したため、飢餓状態の条件も複数検討し、最適条件を模索した。一方で、培地上清についてはELISAを行い、bFGF刺激によって培地中への分泌が促進されるサイトカインの探索を行った。これらの結果、Taqman ArrayではmRNAの発現量の上昇が観察されても、ELISAを行うとタンパク質の分泌量が上昇していないサイトカインがあることが分かった。また、bFGF刺激でmRNAの発現が促進され、さらに培地中への分泌も促進されるサイトカインを2つ見出した。さらに、見出したサイトカインについてマトリゲルを用いた血管新生アッセイを行った結果、ヒト臍帯静脈内皮細胞(Human Umbilical Vein Endothelial Cells;HUVEC)による血管新生を促進することも明らかにした。
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