研究課題
Sp7は、3つのZnフィンガーを持ち、SPファミリーに相同性を持つ転写因子である。Sp7 ノックアウトマウスでは、骨芽細胞の形質を獲得する以前に分化がブロックされて、骨形成が全く起こらない。したがって、骨芽細胞へ分化後のSp7の機能を明らかにするためには、骨芽細胞特異的Sp7ノックアウトマウスが必要である。骨芽細胞特異的Sp7ノックアウトマウスはすでに報告されているが、一方の染色体ではgermlineでSp7を欠失させていること及び使われているCreの欠失効率が不十分であることから、骨芽細胞でのSp7の機能解明に至っていない。そのため、Cre発現細胞をGFP(green fluorescent protein)で特定できるようにGFP-Creの融合蛋白質を用い、2.3kb Col1a1プロモーター下で骨芽細胞特異的にGFP-Creを高発現するトランスジェニックマウスを作製した。このトランスジェニックマウスとSp7 floxマウスを交配し、Sp7fl/flCreマウスを作製した。10週齢マウスのマイクロCT解析では、海綿骨量が増加、皮質骨厚および骨密度が低下していた。組織解析では、皮質骨の多孔化が認められ、皮質骨内部に多数のTRAP陽性破骨細胞が認められた。また、皮質骨の骨細胞にはTUNEL陽性のアポトーシスが増加していた。骨細管鍍銀染色では、骨細胞突起が減少しており、それによって骨細胞がアポトーシスを起こしたと考えられた。アポトーシスを起こした骨細胞は貪食されないため、ネクローシスを起こす。ネクローシスを起こすとDAMPs(damage-associated molecular patterns)が放出され、Rankl発現が誘導されて破骨細胞形成が促進される。これによって、皮質骨内に破骨細胞が増加、皮質骨の多孔化が起こったと考えられた。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
PLOS Genetics
巻: 16 ページ: e1009169
巻: 16 ページ: e1008586
10.1371/journal.pgen.1008586
International Journal of Molecular Sciences
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