研究課題
未熟骨芽細胞はコラーゲンの走行がランダムな繊維骨を形成するが、繊維骨は容易に破骨細胞によって吸収され、成熟した骨芽細胞がコラーゲンの走行が一定の層状骨を形成する。骨芽細胞の成熟過程で、Runx2 は未熟骨芽細胞に強く発現しており、成熟とともに発現は低下する。骨芽細胞特異的に Runx2 を過剰発現したトランスジェニック (Tg) マウスでは、骨芽細胞の成熟が抑制され、骨は未熟骨芽細胞で占められ、ほとんど骨細胞が存在せず、骨細胞突起の著減が観察された。この時、Runx2 の下流で骨芽細胞突起形成を阻害する分子を探索したところ、Talin2 (Tln2) の関与が示唆された。Tln2 は、細胞接着のダイナミクスに関与する分子の一つで、Tln2 ノックアウト (KO) マウスは、skeletal myopathy の表現型を示すことが報告されているが、骨芽細胞の分化・形態・機能および骨代謝に関する報告はない。本研究では、骨芽細胞分化に必須の転写因子である Runx2 が Tln2 の発現を介して、突起形成を主とした細胞骨格を制御することにより、骨芽細胞の成熟を調節している可能性を検討する。まず、骨格形成における Tln2 の生理的意義を明らかにし、次に Runx2 による骨芽細胞突起形成および骨芽細胞成熟抑制に Tln2 が関与するか明らかにする。Tln2 KO マウスを作製し、継時的な観察を行った。Tln2 KO マウスとコントロールマウスで、骨量などに差を認めなかった。さらに、Runx2 Tg マウスと Tln2 KO マウスを交配し、Runx2 Tg / Tln2 KO マウスを作製した。Runx2 Tg / Tln2 KO マウスでは、Runx2 Tg マウスの表現型の一部が回復していた。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
PLOS Genetics
巻: 16 ページ: e1009169
International Journal of Molecular Sciences
巻: 21 ページ: 2682~2682
10.3390/ijms21082682