研究実績の概要 |
本年度は4 週齢オスのWistar Ratを12 時間ごとの明暗環境下・自由飲食で2 週間飼育後、24時間高照度光下(800-1000 lux)の恒明環境(12h/12h : Light/Light, LL条件)で3週間飼育し、光による体内時計のリセットを行わせないフリーラン(free-run, 自由継続)ラットを作成し、光環境による唾液腺末梢時計への影響を検討した。フリーランラットの顎下腺を摘出しTotal RNA(ZT0, 6, 12, 18, 24, 30, 36, 42, 48)を抽出後、定量RT-PCR法にて時計遺伝子 (Bmal1, Per2, Clock, Cry1) およびAqp5, Ano1のβ-actin発現量に対する相対発現量を計測しLD群と比較した結果、フリーランラット(LL群)の顎下腺においてBmal1, Per2はLD群から12時間シフトし逆位相を示した。また、ピーク時刻における発現量を比較するとPer2, Cry1はLL群が有意に低下していた。水分泌関連イオンチャネルであるAqp5, Ano1はPer2同様にLD群から12時間シフトし、Ano1のピーク発現量がLL群で有意に低下していることが明らかになった。これらの結果は行動リズムがフリーランすることで唾液腺の末梢時計も影響を受け、唾液分泌に関連するイオンチャネルの発現リズムや量も変化することを示唆していた。つまり、光環境の変化によって唾液腺の末梢時計リズムや、時計遺伝子を介した唾液分泌関連イオンチャネルの発現調節がある可能性が示された。現在、上記の知見をまとめ、論文執筆しており国際学術誌へ投稿予定である。また、本年度は学会発表および学会誌への現時点での研究進捗内容を総説として寄稿した。
|