研究課題
頭頸部・食道癌は、同時性および異時性に発生しやすく、飲酒と喫煙が相乗的に多発癌のリスクを高めることが知られている。WHOは「アルコールそのものの発癌性やアルコール代謝産物のアセトアルデヒドが、頭頸部・食道癌の原因となる」と認定しており、分子機序解明に向けた取り組みは急務である。近年、口腔内細菌叢が多量のアセトアルデヒドを産生するとの報告がされているが、頭頸部・食道癌の発生および再発におよぼす影響についての検討は十分に行われていない。また、アセトアルデヒドのみならず口腔内細菌による代謝産物の影響についても十分な解析がなされていない現状がある。本研究は、口腔内細菌叢のメタゲノム解析および口腔内代謝産物のメタボローム解析を用いて頭頸部・食道癌発生および再発に口腔内フローラおよび口腔内代謝産物がもたらす影響を明らかにすることを目的とする。in vivo(ALDH2ノックアウトマウス)モデル用いて、アルコール、アセトアルデヒド、発癌物質を投与したモデルマウスとコントロールマウスを用いて以下の検討を施行した。①口腔内細菌叢の解析②口腔内代謝産物の解析③各種マーカーの解析:【検査項目】<細菌側検査>プロカルシトニン、エンドトキシン<末梢血液検査>WBC、WBC分画 <生化学検査>ALT、γ-GT、SCC<サイトカイン>TNFα、TGFβ、IFNγ、IL2R、IL10<頭頸部・食道粘膜>8-OHdG測定、4-HNE測定、CML測定、カルボニル化蛋白測定、ニトロチロシン測定により粘膜のダメージを定量的に評価した。また、臨床の唾液サンプルの検体採取を行い口腔内細菌叢や代謝産物の変化が、確認された。本研究により、将来的に口腔内細菌叢をターゲットにした新規治療法の開発と頭頸部・食道癌発生、進展および再発阻止に寄与する癌予防医学への貢献が期待される。
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日本消化器病学会誌
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http://halo.med.hokudai.ac.jp/