口腔扁平上皮癌111例の生検・手術材料を対象として、免疫組織化学染色法を用いてTPM1発現を検索したところ、78例(70.2%)でTPM1の高発現を認め、臨床病理学的特徴(T分類、N分類、病期)との間には有意差を認め、さらに有意な生存期間延長を認めた。なお正常角化細胞と比較して、口腔扁平上皮癌細胞株におけるTPM1発現は低く、siRNAを用いたTPM1発現抑制により、口腔扁平上皮癌細胞株の増殖能、遊走能、細胞移動能は有意に亢進した。以上の結果から、TPM1の低発現は口腔扁平上皮癌の浸潤・転移能獲得において重要な役割を演じるとともに、有用な予後因子となり得る可能性が示唆された。
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