• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実績報告書

酪酸による歯周組織破壊のメカニズム解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K18967
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

白杉 迪洋  京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (80807727)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2020-03-31
キーワード歯周病 / 酪酸 / 歯肉線維芽細胞 / マトリックスメタロプロテアーゼ
研究実績の概要

歯周病はその罹患率が非常に高く、また、病態進行によりQOLを著しく低下させる。これまで多くの研究がなされてきたが、病態の進行については不明な点が多い。本研究では歯周病原菌が産生する酪酸に着目し、酪酸が歯周組織破壊に与える影響について解明することを目的とした。
歯周組織破壊は細胞死の誘導だけでなく、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)等のプロテアーゼによっても進行する。これまでに得られた知見より、酪酸刺激によって歯周組織の細胞死の誘導及びMMPs産生が亢進すると仮定し解析をおこなった。
歯肉線維芽細胞は歯周組織の主構成を担うだけでなく、細胞外マトリックス産生等をおこない、組織の恒常性の維持に重要な役割を担っている。正常ヒト歯肉線維芽細胞に酪酸を曝露させることにより、歯肉線維芽細胞のMMP-1, 3, 10 mRNA発現量が経時的に亢進した。また、酪酸を長時間曝露させることにより細胞培養上清中にMMP-1, 3, 10タンパク質の産生を認めた。さらにザイモグラフィ-にて産生されたMMPs活性について評価したところ、MMPsの活性化が認められた。また、MMPsを阻害するtissue inhibitor of metalloproteinase (TIMP)について同様の解析をおこなったところ、TIMP-1, 2 mRNA発現は亢進するものの培養上清中にタンパク質産生の有意な亢進は認めなかった。これらの結果より酪酸の長時間曝露によって歯周組織が過剰にMMPsを産生することで、TIMPとのバランスが崩れ、歯周組織の破壊が生じる可能性が示唆された。
以上より酪酸は歯周組織の細胞死を誘導するだけでなく、MMPsを過剰に産生させることでより強く歯周組織の破壊を惹起すると考えられ、歯周病の新規治療法として酪酸を対象としたスカベンジャーの探索は有用であると考えられた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 酪酸が歯周病病態進行に与える影響についての検討2020

    • 著者名/発表者名
      中川 真希, 白杉 迪洋, 大迫 文重, 山本 俊郎, 金村 成智
    • 学会等名
      第74回 NPO法人日本口腔科学会学術集会
  • [学会発表] 酪酸はヒト歯肉線維芽細胞のマトリックスメタロプロテアーゼ産生を誘導する2019

    • 著者名/発表者名
      中川 真希, 白杉 迪洋, 佐藤 良樹, 大迫 文重, 雨宮 傑, 山本 俊郎, 坂下 敦宏, 中村 亨, 金村 成智
    • 学会等名
      日本歯科保存学会2019年度春期学術大会(第150回)

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi