研究代表者はラット炎症惹起歯髄およびラット歯髄培養細胞におけるユージノールのプロスタグランジン (PG)E2 合成酵素の発現抑制作用ならびにシクロオキシゲナーゼの活性抑制作用などを報告してきた。しかしながら、現在までに報告されているユージノールの作用機序では、PGE2合成酵素の発現抑制作用は説明できない。そこで、申請者はラット歯髄内におけるユージノールの作用点を検索・同定するため以下の方法を計画した。 ユージノールに結合する生体因子を検索するため、ユージノール固相化担体を作製する。ラット歯髄ホモジネートあるいはラット歯髄培養細胞抽出物を前記の担体と反応させユージノール結合因子を得る。ユージノール結合因子を質量分析法などにより同定することで、遺伝子情報をも得る。ラット歯髄細胞あるいは該当遺伝子を導入あるいは破壊し、ユージノールに対する反応を検討することで、その因子の機能を観察する。 これまでにユージノール固相化担体の作製を行った。固相化法にはユージノールの有する官能基であるフェノール性水酸基およびアリル基を利用した。また、対照としてユージノールの基本骨格であるフェノールとユージノールに類似した構造のo- ユージノール及び3- メトキシチラミンを用いて固相化担体を作製した。 フェノール性水酸基およびアリル基を利用した各々の固相化担体を用いることで歯髄ホモジネートより複数のタンパク質をSDS-PAGEで確認したが、対照担体からも同様に検出されたため、検出できたタンパク質の重要性を判断できなかった。そこでユージノールの全官能基を残した状態でリンカーを介した固相化担体の製作を検討した。
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