研究課題/領域番号 |
19K18977
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
川邊 睦記 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10760720)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | VEGF-A / VEGFR-1 / VEGFR-2 / Autocrine |
研究実績の概要 |
VEGF-A(血管内皮細胞増殖因子)はがん細胞から分泌され,腫瘍血管新生を誘導することで,がんの生存と転移を促進することが知られている.前年度報告にてVEGF-A とVEGF Receptor 2(VEGFR-2)に関する報告を行った.今回は,VEGF-A とVEGFR-1に関する研究結果およびそれぞれの関係性について評価した報告を行う. RT-PCR法、蛍光免疫染色法および免疫組織染色法にて,HCM-SCC001細胞および由来組織におけるVEGFR-1の発現を確認した.免疫組織染色法では,原発巣および転移リンパ節において同様にVEGF-AとVEGFR-1の発現を確認できた. VEGF-A存在下でHCM-SCC001細胞を培養し,Realtime PCR法にてVEGFR-1の発現を評価したところ,VEGF-AはVEGFR-1の発現を誘導した. Anti-VEGFR-1抗体存在下でHCM-SCC001細胞を培養し,Cell Count Kit-8にてVEGFR-1抗体が細胞増殖に与える影響を評価した.さらに,Anti-VEGFR-1抗体によりVEGF-Aの発現および産生に与える影響をRealtime PCR法およびElisa法にて評価した. Anti-VEGFR-2抗体存在下と同様にAnti-VEGFR-1抗体によりHCM-SCC001細胞の増殖は抑制され,Realtime PCR法およびElisa法でもVEGFAの発現および産生を抑制した.またその抑制する機序を評価するにあたり,Anti-VEGFR-1,2抗体存在下にてHCM-SCC001細胞を培養したところ,Anti-VEGFR-1,2抗体ともにニューロピリン1の発現を抑制した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RT-PCR法、蛍光免疫染色法および免疫組織染色法にて,HCM-SCC001細胞および由来組織におけるVEGFR-1の発現を確認した.VEGFR-2同様に免疫組織染色法では,原発巣および転移リンパ節においてVEGFR-1の発現を確認できた. Anti-VEGFR2抗体存在下でHCM-SCC001細胞を培養し, VEGF-Aの発現および産生が抑制されていることをRealtime PCR法およびElisa法にて評価した.さらにAnti-VEGFR-1,2抗体によりニューロピリン1の発現が抑制され、がん細胞増殖抑制効果が示唆された.
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今後の研究の推進方策 |
ZM306416,SU5408(ともにVEGFR阻害剤)が細胞増殖に与える影響を評価する.さらに培養上清よりエクソソームを抽出し,VEGF-Aを発現するか否かをPCRにて確認する.前年度報告結果と以上の結果を踏まえ、成果発表を学術雑誌投稿にて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用した試薬品や材料経費を安く抑えることができたため.次年度使用額を2021年度の研究に用いる試薬購入および論文作成・投稿費用に使用予定である。
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