口腔がんは主に扁平上皮癌であり,生存率はリンパ節転移や遠隔転移の有無に依存し,転移メカニズムの病態解明が課題となっている.癌の発生と進行における腫瘍の血管新生は,血管内皮細胞増殖因子(VEGF-A)が担っており,その受容体として,血管内皮細胞に存在するVEGF-Rが挙げられ,近年,VEGF-Rは腫瘍細胞にも存在し,VEGF-Aと結合することで,自身の細胞周期や転移浸潤に寄与することが肺癌などで明らかになった.そこで,われわれはVEGF-A,VEGF-Rを同時に発現する上顎歯肉癌から樹立した扁平上皮癌培養細胞を解析することで,新たな口腔がん治療戦略を考える可能性について考え、本研究を遂行した.
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