研究課題/領域番号 |
19K18979
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
成田 由香 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50758050)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歯周病原細菌 / 獲得免疫 |
研究実績の概要 |
歯周病は複合感染による慢性疾患であり、初期段階での自覚症状が乏しい。これまでに口腔局所での細菌感染が原因と考えられてきたが歯周病について、口腔局所のみならず、腸管に達した歯周病原細菌由来の抗原による全身免疫応答と捉え、歯周病原細菌のT細胞抗原同定に基づいた新しい歯周病予防ワクチンの開発を目指す。複合感染による歯周病の予防ワクチンの開発に向け、Porphyromonas gingivalisのみならず、全てのRed complex細菌群を対象に解析を進める。T細胞責任抗原の同定によるワクチンによる歯周病予防は、口腔機能の維持、健康寿命の延長さらには歯周病がリスクファクターとして関与する全身疾患の予防へとつながる可能性がある。
1)歯周病病態形成にかかわるRed complex細菌群のT細胞抗原の同定について、Porphyromonas gingivalis において解析を進め、菌体分画成分を用いた逆相HPLCでの分画およびプロテオミクス解析を経て得られた候補タンパク質を大腸菌で発現精製し、IL-17Aを指標にTh17への分化能の評価およびKi-67を用いたCD4陽性T細胞の増殖評価を行い、さらなるT細胞抗原の絞り込みを進めた。
2)歯周病原細菌特異的抗原反応性Th17による歯周病病態の解析に向け、T細胞責任抗原候補タンパク質発現菌投与マウスを用いた歯周病モデルでの解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病原細菌群のT細胞抗原同定に基づく新たな歯周病予防法の開発に向け、研究計画に従い、これまでの解析から得られた候補タンパク質を用い、さらなる責任抗原の絞り込みを進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究計画に従い研究を遂行する。
T細胞責任抗原を有する候補タンパク質は、MHC結合予測アルゴリズムを用いてエピトープ領域を絞り込み、オーバーラッピングペプチドを用いたペプチド領域の同定へと繋げる。先行するPorphyromonas gingivalis以外のRed complex細菌についても、同様にT細胞抗原の絞り込みを進め、歯周病病態の解析へと進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)研究計画に従い研究を進めているが、申請額に対する充足率は100%ではないことから、本年度以上の予算が必要とされる次年度以降の研究計画を遂行する上で、本年度配分の使用額の一部を次年度使用額とした。
(研究計画)研究遂行に必要な備品については導入済みであり計上しない。次年度には歯周病モデル評価のため動物購入・飼育費用、細胞培養や生化学実験に用いる試薬などの消耗品、ペプチド合成費用等を計上する予定である。
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