研究課題/領域番号 |
19K18983
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
嶋田 雄介 東北大学, 大学病院, 助教 (60789163)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 侵害受容伝達 / 三叉神経節 |
研究実績の概要 |
申請者らは既に、歯痛に対する交感神経の末梢修飾機序や三叉神経節・三叉神経感覚核といった中枢における痛みへの影響を解明するために、窩洞形成による炎症歯髄モデル(ラット)とWGA-HRP順行性標識法および電子顕微鏡を用いて、炎症歯髄における交感神経の発芽を明らかとしている。 さらに三叉神経系における知覚伝達のメカニズムを解明するために、ガラニンなどの神経ペプチド類や、電位依存性ナトリウムチャネルなどを対象として、免疫組織化学的検索を行った。そこで電位依存性ナトリウムチャネルのひとつであるSCN2Bが、顔面皮膚や口腔粘膜で低閾値機械受容器である小体終末に分布し、三叉神経節では大型の神経細胞に含まれていることから、触覚や圧覚の情報伝達に関与していると考察した。また口腔顔面領域においてSCN2Bを含む自由神経終末 は非常に希で、SCN2BとCGRPの共存はほとんど観察されなかった。しかし一方で、三叉神経尾側亜核表層における神経網にはSCN2Bの反応が認められなかったものの、このサブユニットが三叉神経節における小型の神経細胞にも分布し、それらの細胞体においてはCGRPとの共存が観察されたことから、脊髄神経系と同様に侵害受容伝達に関与している可能性が示唆された。 また同様に免疫組織化学的手法を用いて炎症歯髄モデル(ラット)に対してもSCN2B含有ニューロンの検索を行い、sham群との間で比較検討を試みたが、現時点で両群間に有意な差を見出すことはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19感染予防対策および病院・大学の行動指針遵守のため、この1年間(~現在も)研究活動に大幅な制限がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き三叉神経領域において、交感神経と関連するその他の神経ペプチドや神経伝達物質を指標として、末梢組織および中枢組織での比較検討を行っていきたいと考えているが、COVID-19流行下での研究活動において手段・方法を検討する必要があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染予防対策によって実験活動が予定よりも縮小したため。また、移動制限や学会のWeb開催などによって他地域への旅費が発生しなかったため。 次年度使用額は、旅費の発生が見込まれないため、研究用の消耗品や論文投稿関連に使用する予定である。
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