研究課題/領域番号 |
19K18983
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
嶋田 雄介 東北大学, 歯学研究科, 助教 (60789163)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 歯髄の痛み / 根管形態 / 治療前診断 |
研究実績の概要 |
多根管を有する下顎第一小臼歯の特徴的なエックス線所見を調査し、パノラマエックス線撮影による診断精度を明らかにした。 パノラマエックス線撮影と歯科用コーンビームCT(CBCT)を受けた186人(13~87歳、平均年齢37歳、男性49名、女性137名)の患者347本の下顎第一小臼歯を4人の放射線科医が評価した。2名の放射線科医が、CBCTを用いて単根管または多根管の存在を確認した。他の2名の放射線科医は、パノラマエックス線撮影による根管形態の画像所見を評価し、緩やかな狭窄と急な狭窄の2パターンに分類した。また、急な狭窄パターンの場合は、狭窄の発生部位も評価した。 結果、単根管歯では、根尖側1/4レベルと根尖レベルの間に急な狭窄が生じた歯の割合が最も高かった。多根管歯では,歯頸部レベルと歯根1/2レベルの間で急な狭窄を起こす歯の割合が最も高かった。多根管歯の歯頚部レベル-歯根1/2レベル間における急な狭窄パターンの割合は、根尖側1/4レベル-根尖レベルとは異なり、単根管歯のそれよりも有意に高かった。 パノラマエックス画像における根管の急な狭窄の位置は、単根管歯と多根管歯とで異なっていた。この結果は治療前の根管数の予測・診断に利用でき,根管治療失敗のリスクを低減し,臨床に大きく貢献することができる。 一方で、根管形態に影響すると思われる加齢変化や、う蝕・象牙質知覚過敏症などの既往や治療歴といった要素は考慮していないため、さらなる検討が必要と思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
画像診断的手法を用いており、膨大なデータの評価・解析に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
モダリティとして口内法エックス線撮影を用いることで、より臨床に即した検討・解析を進めるほか、併せて解剖学的検討を試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染予防対策によって実験活動が予定よりも縮小したため。また、移動制限や学会のWeb開催などによって他地域への旅費が発生しなかったため。 次年度使用額については、研究用の消耗品や論文投稿関連に使用する予定である。また、今後感染予防策の緩和により、学会参加に要する旅費が発生する可能性がある。
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