近年、細胞内分解機構であるオートファジーの制御異常が様々な全身疾患に関与することが報告されている。また、オートファジーは細胞内のタンパクの品質保持だけでなく、細胞内に侵入する病原体の除去にも関与していることが明らかとなっている。申請者はこれまでに歯周病原細菌が感染している梗塞心筋では心破裂が頻発し、その原因が心筋細胞におけるミトコンドリア選択的オートファジー(マイトファジー)の抑制にあることを報告している。これまでの研究成果より、オートファジーの制御異常が歯周病と心血管疾患の関わりを解明する鍵を握っているのではないかと考え、「歯周病原細菌の感染がオートファジー制御異常を介して心肥大に与える影響とその機序を解明すること」を目的に本研究を立案した。 本年度は、これまでにin vitroで明らかになった実験結果と同等の現象が確認できるかマウスを用いた実験を行い、検証した。さらに遺伝子改変マウスを用いて実験を行うことで、実験結果のさらなる裏付けを取ることができ、その成果を日本循環器学会で発表した。
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