研究実績の概要 |
血中コレステロールレベルを調節する分子であるProprotein convertase subtilisin/kexin type 9 (PCSK9)の血清レベルは,健常者と比較して歯周炎患者で高かった。PCSK9は歯周病検査による1歯単位の臨床指標とは別に,全身疾患に対するリスク評価も可能で,全身への影響を考慮した治療方針の選択に活用できる新たなバイオロジカルマーカーとなる可能性がある。本研究の目的は,歯周治療による介入研究から,PCSK9レベルと歯周炎重症度との相関関係,歯周治療前後での変動,および他の臨床指標や炎症マーカーとの関連について明らかにし,歯周炎バイオロジカルマーカーとしてのPCSK9の有用性を検討する。 中等度および重度慢性歯周炎患者を対象とし、初診時・歯周基本治療後・歯周外科治療後にて, 歯周病検査,採血, 唾液採取を行う。 歯周ポケット深さ, クリニカルアタッチメントレベル,平均骨吸収度,プロービング時出血, 歯周ポケット炎症面積 (PISA)を臨床指標とし, 歯周病原細菌数, 総細菌数,歯周病原細菌 血清抗体価, 血清PCSK9, IL-6, hs-CRP, 血清脂質プロファイルを測定する。得られたデータより歯周炎重症度とPCSK9レベルとの関連の評価および炎症性因子除去によるPCSK9の変動,他の臨床指標とPCSK9との関連について解析を行う。本年度は被験者登録,治療,データの収集を開始する。
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