研究課題/領域番号 |
19K18998
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
芥川 桂一 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (40826369)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歯周炎 / HMGB1 / RAGE |
研究実績の概要 |
近年、歯周炎と全身疾患との関連性が注目を集めてきている。申請者はこれまで歯周炎と糖尿病の関連性に着目し、双方の病態がどのような形で関連しているかの検討を行ってきた。本研究では、歯周炎において歯周組織で発現の増加が認められるhigh mobility group box-1 (HMGB1)と、糖尿病の重要な因子であるAGEの受容体receptor for AGEs (RAGE)に着目し、その関連性を評価することで両疾患の病態改善及び新規治療法の開発を行うことを目的とした。 令和1・2年度は、第2段階としてin vivoの歯周炎ー糖尿病モデルマウスにおいて、glycyrrhizinの口腔内塗布によってHMGB1を阻害することで歯周炎の抑制と血中の炎症性サイトカイン及び血糖値が影響を受けるかを評価した。さらに、glycyrrhizinの使用が歯槽骨吸収等の歯周組織破壊に与える影響も同時に評価した。 glycyrrhizinを口腔内塗布した際の歯周組織の炎症について、歯周炎ー糖尿病モデルマウスの歯肉において炎症性サイトカインであるIL-6、IL-1β、TNF-α及びHMGB1のmRNA発現量がプラセボを塗布した対照群の歯周炎ー糖尿病モデルマウスより有意に減少していることをReal-time PCRで明らかにした。また、血中のこれら炎症性サイトカインが減少していることをELISAにて確認した。さらに、glycyrrhizin口腔内塗布群ではプラセボ群と比較して8時間空腹時血糖値が抑制されることも認めた。しかしながら、glycyrrhizin口腔内塗布による歯槽骨吸収の抑制はマイクロCTを用いた比較では認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和1・2年度の実験においてin vivoでglycyrrhizin口腔内塗布が歯周炎と血中の炎症性サイトカイン及び空腹時血糖値に与える影響は評価できたが、in vitroでのHMGB1阻害作用の評価を行うことができていないため。 これらについては、今後1年間の研究延長期間で明らかにしていく。
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今後の研究の推進方策 |
in vivoにおいてglycyrrhizin口腔内塗布による歯槽骨吸収の抑制が認められなかったため、glycyrrhizinが破骨細胞に与える影響をin vitroで評価する。また、マウスに加え、ヒト歯肉線維芽細胞における影響も評価する。
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