研究課題/領域番号 |
19K18999
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宗永 修一 広島大学, 病院(歯), 助教 (20825327)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エクソソーム / 歯周炎 / 関節リウマチ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、歯周炎が関節リウマチ(RA)増悪に与える因子を明らかにするために、①Porphyromonas gingivalis (Pg)によって誘導されたmRNA結合タンパクHuRによるIL-6 mRNAの安定化がIL-6分泌量を増加させ、RA病態増悪に関与していることを明らかにする。②歯周組織で感染したPgまたはPg由来タンパク質がどのように関節局所に移行し、RA増悪に関与するのかエクソソームに着目して明らかにすることである。目的①、②ともに確立した歯周炎RAモデルマウスを用いて評価する。また、②についてはRA患者血清中に含まれるエクソソームを患者由来の滑膜細胞に作用させる実験系も用いて評価する。申請者はすでにPg口腔投与RAモデルマウスを確立している。具体的にはSKGマウス(日本クレア)の6~8週齢の雌に、β-グルカンであるLaminarin (LA) (10 mg/mouse)を腹腔内投与することで関節炎を誘導した。Pg口腔投与群(Pg群)として2%carboxymethyl cellulose (CMC)含有PBS 50μ中にPg W83 を108 CFUを懸濁後、綿球に含ませ3日おきに口腔内に留置した。実験開始42日後に屠殺し解析すると、Pg感染が関節炎の増悪に関与することを確認した。このPg口腔投与RAモデルマウスを用いて研究を遂行した。具体的には、申請者はすでにPg口腔投与RAモデルマウスを確立している。具体的には実験①として、Pg感染により生じたHuRがRAに及ぼす影響の解析を行い、歯周炎により、歯周組織でHuRの増加、歯肉上皮細胞を用いて、in vitroでもHuR増加を確認した。また、実験②として、歯周組織、関節組織、および血中エクソソームの解析を行い、エクソソーム中にHuRなどのmRNA安定化タンパクが内包されていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記概要のように、実験① Pg感染により生じたHuRがRAに及ぼす影響の解析、実験② 歯周組織、関節組織、および血中エクソソームの解析、実験③ 培養細胞系で産生されるエクソソームの解析、実験④ エクソソーム注入によるRA誘導実験の4つの実験計画のうち、2つが順調に終了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は残りの実験計画の、実験③ 培養細胞系で産生されるエクソソームの解析(初代培養歯肉上皮細胞、歯肉線維芽細胞、滑膜由来線維芽細胞にPgを接触させ、上清中に産生されるエクソソームを回収する。回収はExoQuick (フナコシ)を使用し、検出は抗CD9モノクローナル抗体を用いたウエスタンブロッティング法で行う系を確立している。エクソソーム内容物はDNA、RNA、protein arrayで網羅的に解析する。)、実験④ エクソソーム注入によるRA誘導実験(実験②、③で回収したエクソソームをSKGマウスの足首関節に注入し(10μg/mouse)、RA症状の評価を同様の方法で行う。)を遂行予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度予定した動物実験において当初の予定より必要動物匹数が少なく実験が行えたため、次年度に追加で動物実験の費用として使用予定。
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