侵襲性歯周炎のゲノム解析については、本学に設置してあるバイオリソースセンターを活用して採血、DNA抽出を実施している。昨年度DNA抽出した4サンプルに加え、さらに4サンプルの採血、DNA抽出を実施したが、コロナウイルスの影響で外来業務、バイオバンク事業の一時休止ならびに外来患者数の制限もあり、予想より登録患者数が増えなかった。 よって当初の計画である患者数を増やしてのエクソーム解析による新規原因候補遺伝子の同定と並行して、登録患者の細菌ゲノムを調べることによる同一患者由来のヒトゲノムDNAと細菌ゲノムDNAの相関を解析する内容を追加することとした。 細菌ゲノムの解析は、従来の16S アンプリコンシークエンスに加えて、bitBiome株式会社との共同研究による1細菌レベルでのDNA配列を解析するシングルセルゲノム解析を実施する。現在までに、被験者4名の罹患部位におけるプラークおよび健常者2名の健常部位のプラークを採取し、次世代シークエンサーによるDNA配列の取得を行った。細菌ゲノムについては、バイオインフォマティクス解析によるデータの解析を進めており、罹患者共有の細菌種および細菌株の同定を目標に研究をさらに進めていく予定である。さらに、当初の目的であった患者のヒト由来DNA配列において患者特有の遺伝子変異が同定出来た際には、宿主の遺伝子変異と細菌の組成および機能について、その相関およびメカニズムの解明を目指していく予定である。
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