本研究は、根尖孔外バイオフィルムおよび難治性根尖性歯周炎に対するアジスロマイシンの効果を in vivo にて明らかにすることを目的として、根尖孔外バイオフィルムを形成させたラット下顎第一臼歯にアジスロマイシンを根管内に貼薬後、アジスロマイシンの根尖孔外バイオフィルムへの効果を、マイクロCTによる根尖病変体積計測や根尖孔外バイオフィルムの微細形態学的観察および組織学的観察等を用いて評価することを計画したものである。 しかし、研究初年度、本研究代表者の異動に伴い、動物用マイクロCTや走査型電子顕微鏡(SEM)、動物固定台、治療用マイクロスコープ、根管治療機材などの使用準備手配の必要があるため、実験の開始が遅くなった。さらに世界的な感染症拡大・移動制限によって他施設の機材使用が困難となり、研究の遂行が困難となったため、所属研究施設で実施可能である骨治癒の側面から研究を行った。 顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は好中球の生存、増殖、分化を調節し、成熟した好中球の機能を活性化するが、骨リモデリングにも関与することが報告されており、本研究ではG-CSFの顎骨の治癒への影響を評価した。6週齢マウスにG-CSFを4日間腹腔内投与後、片側上顎第一臼歯を抜去し、その6日後に上顎骨を採取した。マイクロCT骨形態計測および組織学的観察による評価を行ったところ、G-CSF投与により、抜歯窩の骨治癒の遅延が生じることが示された。
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